植物生活編集部 植物生活編集部 2020/03/09

室内緑化のパイオニアチーム「parkERs」の挑戦(1)チームだから解決できる植物導入の壁とは?





植物に関わる業界にいる人なら、一度はparkERs(パーカーズ)という名前を耳にしたことがあるのではないでしょうか。

業界に属さなくとも、花好きなら誰もが知っているフローリスト、青山フラワーマーケット。「青フラ」という通称で愛される同社、株式会社パーク・コーポレーションが、室内緑化、グリーンを活かした空間デザイン、施設の施工やコンサルティングを行うサービスの組織名が「parkERs」なのです。

2019年末に新しくなった東京・南青山の新オフィス。内覧会には多くの花き園芸業界、デザイン業界などのプロフェッショナルたちが来場し、話題となりました。

空間としての美しさ、植物と過ごす楽しみの装置はもちろん、業界内外へ大きな刺激を与えているのは「植物ってなんか素敵だよね」という曖昧さによる壁に正面から向き合う「試み」と「姿勢」です。



上記2点、写真提供/parkERs (撮影/木村雄司)


植物ブームやグリーンウェーブ、さまざまな表現はありますが、今後も注目を浴びると予想される植物。

しかしながら、なぜ植物がいいのか?どのように人間の生活を豊かにするのか?
という問いに対し、言語化、数値化することに向き合っている企業は稀有な存在です。
今回は、新しい試みで注目を集めるparkERsのブランドマネージャー、梅澤伸也さんにユニークな組織体制について、植物ブームと業界のこれからについてお話をうかがいました。





ーー素晴らしいオフィスですね。デザインから施工までparkERsメンバーでつくられたのですか?

梅澤さん(以下、梅澤):
はい、parkERsの強みは「空間デザインのプロ」と「植物のプロ」が社内に共存していること。
設計&デザイン、植物コーディネート、施工や植栽メンテナンスまで自社で行なうことができます。トータルで監修することで感度が高いだけではなく、人にも植物にも快適な空間を実現できるんです。

今回のオフィスは執務空間としての機能だけでなく、実験室のような面も持ち合わせています。
私たちにとっては水も大きな要素の一つで、ビオトープや水景什器なども取り入れて自社でテストをしています。






ーーオフィス空間だけではなく、組織のあり方や働き方も多様性を重視していると聞きました。

梅澤:そうですね、基本的にオフィスはフリーアドレスで毎日自由に働く場所を選べます。
働くメンバーもプロジェクトごとに編成されるので、空間も働き方もフレキシブルだと思います。
今日はスタッフが多い方ですが、皆が集まるのは唯一月曜の定例くらいですね。
ほとんどの時間が自由だからこそ、社内での情報共有を大切にしています。

今は総勢70名弱。このくらいの規模になってくると、会社としてのスタンスや方向性を伝える密なコミュニケーションは重要になっています。

意外という声を多く頂くのは、植物のプロフェッショナル「だけ」を集めいていないということです。


フリーアドレスの座席には切り株で作られた椅子やブランコまで含まれている。床にはウッドチップが敷き詰められて本当に公園にいるかのよう。


ーー確かに意外ですね!植物のプロ、植物大好きな方の集団だと思っていました。

梅澤:取材対応させていただいているブランドコミュニケーション部は、植物とデザインがそんなによく分からないというメンバーが集まっています。

このメンバーが社内の情報を取りまとめたり共有したりして、外への情報発信もしています。植物が好きな人だけ集まっちゃうと、視点が固まってしまい、広がりがなくなってしまう。
だからこそ、あえて植物がすごく好きとか、職人気質という人だけでチーム構成しないように気をつけています。


ーー通常のクライアントワーク、空間緑化プロジェクトの場合はどのようなチーム構成ですか?

梅澤:私たち組織のユニークなところは5分野のプロフェッショナルごとに分かれている点です。
通常であれば、プロジェクトのスタートはクライアントの要望聞いて、デザイナーがいて図面を引いて……、という流れになりますよね。

弊社ではまず、お客様の窓口となるプロデュース室があります。
ここにいるプロデューサーがしっかりクライアントのニーズをヒアリングします。
依頼された案件の全体像を作るのがプロデュース室の大切な仕事。
次にデザイン室とプランツコーディネート室のメンバーが実際の空間デザイン、植物のコーディネートに入っていきます。

parkERsには施工監理室とグリーンライフ室もあるので、実際の施工とその後のメンテナンスも加味して変化する空間を提案できます。





ーー植物ブームといえど、どのように植物を取り入れたら良いのか分からない方も多いのでは?

梅澤:そうですね。
植物を室内で育てて良い環境を保つということは、一般的にはハードルが高いですよね。
室内緑化したいという依頼内容や目的が具体的な場合もそうでない場合もあります。
先方が植物をどう「活用」したらいいのか不明確な場合でも、上流過程のコンセプトから最後の仕上げである施工はもちろん、その後のメンテナンスができるのもparkERsの強みです。


ーーどうやって育てたらいいのかではなく、植物を導入する意味から一緒に考えるのですね。

誰もが「なんとなく」だけれど、植物があると良いとは思っていますよね。
でも植物は生き物だから、適切に育てていかなければ良い環境は続かない。
続けるためのメンテナンス方法や、今後の金銭的、時間的なコストも含めてまるっと提案できます。
そして、時間や費用もかかるのだから「なんのために室内緑化をしたいのか」という目的をきちんと、お客様とすり合わせておきます。
そのためのプロフェッショナルがparkERsには揃っています。


ーーチームで取り組む良さは、多様な視点を持てることですね。

私たちはプロジェクトごとにチームを編成します。
社内会議でもお互いがプロとして意見すると植物目線と人間目線で対立することも度々です。でも、いつも「お客様が何を求めているか」に立ち返ることで方向は定まってくるんです。


ーーオフィスや店舗などで室内緑化が求められる理由はどのようなことが多いのですか?

本当にケースバイケースですね。増えているオフィス緑化ですが、目的は様々です。
ヨーロッパでは「植物のないオフィスではいい人材が採用できない」と言われています。
日本では深刻な人材不足問題も相まって、働き方の多様性への対応が必然となってきました。
今後も働く環境の整備と連動して、オフィス緑化のニーズはますます増えると思います。

目的の一つとして、創造性を発揮するための一つの装置として植物のある空間をつくりたい、という要望は多いです。
植物の良いところは人によっての好き嫌いがほとんどないことです。
アートだと、あれが好きとか、これが好きとか、結構意見が分かれてしまうんですが、植物にはそれがほとんどない。
会話のきっかけとしても、天気のことと植物のことであればほとんど誰も傷つけないでしょう?
こんなに平和なコミュニケーションのツールって他にはなかなかないと思います。


ーーたしかに公園に行って「あの木が嫌いだ」なんていう人はいないですよね。植物が働く人にとってもたらす影響はどのようなものがありますか?

社内のコミュニケーションを増やす、社員の創造性を発揮させる、などいずれにしても定量的な調査結果が出にくいとされていますが、parkERsでは感性を科学することにも取り組んでいます。これは後でエビデンスについてのお話で説明しますが、ちょっと面白い発見もあります。
とある企業のオフィス緑化で、取り組みの一つとして社員の方に自身のデスクで鉢植えを育てていただいたんです。そうすると、植物をよく枯らしてしまう人と、植物が生き生きする人が出てきました。営業の部門でしたが、植物を上手に育てる人は営業成績も良い割合が高かったんです。




ーー興味深いですね、営業成績と植物の育成にどんな関係があるのですか?

実際に上手に育てている人にヒアリングをしてみると、いくつも納得する点が出てきました。
営業成績のいい方は観察力が鋭いんです。
植物の微妙な変化を敏感に感じやすい。
やはりコミュニケーションが上手な方は相手のことをよく観察しているんですよね。

それから、なんだか具合が悪いなと感じたらまず自分で調べる。
今は情報なんてどこにでも手に入りますから、植物の種類を調べて、気になる症状から予想される病気を調べたりして致命傷になる前に回復させるんですよ。



写真:parkERsでは、一人1輪デスクに花を飾ることになっている。この日の花はラナンキュラス。


ーー植物と向き合うことで、仕事や人間関係にも反映できる学びはたくさんありそうですね。

インタビュー「後編」は室内緑化のエビデンス化と、植物業界で働くことに関してお話しいただきます。(後編につづく)

parkERs 公式サイト https://www.park-ers.com/
parkERsの最新注目案件「茨城県フラワーパーク」の情報はこちら >> https://prtimes.jp/

話をうかがった人
梅澤伸也 
1980年、群馬県生まれ。パーク・コーポレーション parkERs(パーカーズ)事業部 ブランドマネジャー。ソニー・ミュージックエンタテインメント、楽天を経て現職。アフリカ・ケニア旅行で自然や植物の潜在的な力に触れたことがきっかけとなり、パーク・コーポレーションへ転職。2013年、parkERs事業部を立ち上げた。


訪問した人・取材/植物採集家 古長谷莉花
http://the-apoke.com/

撮影/三浦希衣子

◎イベントに対するお問い合わせは event@kaika.ne.jp まで
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