植物生活編集部 植物生活編集部 2020/03/11

室内緑化のパイオニアチーム「parkERs」の挑戦(2)植物のプロに求められているものとは?

花好きなら誰もが知っているフローリスト、青山フラワーマーケット。通称「青フラ」の本社、株式会社パーク・コーポレーションが、室内緑化、グリーンを活かした空間デザイン、施設の施工やコンサルティングを行うparkERs。

今回は「後編」として、ブランドマネージャーの梅澤伸也さんに植物ブームと植物業界のこれからについてお話を聞きました。


前半はこちら >> 室内緑化のパイオニアチーム「parkERs」の挑戦(1)チームだから解決できる植物導入の壁とは?




ーー最近では、室内緑化におけるクライアントからのニーズはどのように変わりましたか?

梅澤さん(以下:梅澤):そうですね、もう何年も植物はブームと言われていますが、特にオフィスにおいては注目度が増しています。

企業側の意識も変わってきているので、依頼内容自体の変化も大きく感じますね。
以前はブランディングのために室内緑化をしたいというイメージが多かったのですが、現在はより深い部分での「植物の力」を働く場に生かしたいという考えが増えてきていますね。
具合的に言えば、エントランスの装飾としてではなく執務空間に植物を置くことで働く人へのポジティブな効果が求められる傾向にあります。
企業側としても、投資対象として室内緑化をするので、費用対効果として実際にどのような効果が得られるのかというエビデンスの説明を求められる場面も増えました。


ーー室内緑化における効果のエビデンス、説明や証明が難しい気がしますが。

梅澤:parkERsには、リサーチ&デベロップメント室があるんです。
今までは感覚値でしかなかった感性のエビデンス化に取り組んでいます。
産学連携の実証実験で「植物によるストレス値の軽減効果」がエビデンス化され、「オフィス空間において、緑視率が10~15%の空間は最もストレスが軽減されやすい」と実証されました。
緑視率というのは人の視界に占める緑の割合のことで、心地よいと感じるバランスにデザインすることが重要です。




ーー梅澤さんのお話にはよくエビデンスや論文と言ったキーワードが出てきます。そこがほかと違うな、という印象があります。

梅澤:植物の業界では、いわゆる右脳派のクリエイティブな人たちがほとんどですよね。
parkERsでは、右脳担当ではなく、左脳派、いわゆるロジカルに考えてビジネス、マネジメントの方に強みを置くメンバーとの両輪があってバランスを取っているんです。
私は左脳派ですね。

依頼をいただく以上、それはビジネスですからきちんとビジネスの土俵で話をしなければなりません。
だから、こういうことをすればこんな効果が想定できますよ、ということを適切に説明したり、クライアントにある程度のエビデンスを要求されることは当然ですよね。

そのためにも、他企業や研究機関と連携して実証実験を行ったり、論文リサーチをして世界中の植物と人間の環境についてのエビデンスを収集しています。


ーー室内緑化導入への障壁を取り払うために、ほかにも取り組んでいることはありますか?

梅澤:IoTを取り入れた室内緑化システムのセンサー等で観測し、データをクラウド上で管理。植栽管理費を適正に算出するなどのサービスも提供しています。
今まで感覚値でやっていたことを見える化することにより、曖昧さによる不安を取り除くことができます。
ほかにも、管理の負荷を減らす商品なども作っています。

これは、環境に負荷をかけないオリジナルの土で新たに地球を掘削することなく、ココヤシピートやコーヒー豆の出がらしをアップサイクルしています。
熱処理することにより土自体には虫や虫の卵が混入しなくなる。
虫がネックで導入したくないな……という方も結構多いので好評です。





ーー植物好きでは気がつかない盲点がたくさんありますね。植物が「興味は持たれやすい」けれど「売れにくい、導入されにくい」の実態はどう考えますか?

梅澤:植物業界は斜陽産業なんて言われていますが、世界を見渡せばアメリカの若者は植物の購入が増えていたりするんですよ。
色々な思い込みだけでなく、視野を広く持てばもっとチャンスは見えてくると思います。
植物、世の中にすごく求められていると思いますよ。

私たちは室内緑化を導入してもらう際にワークショップを実施しています。
特にオフィスでは働く人と密に関わってくるのでここでのマインドセットは重要ですね。

植物を当たり前に育てているプロの人の目線と、そうでない人では目線が全然違う。
自分たちの「当たり前」が「当たり前」ではないので、丁寧に説明する必要があります。
植物がいいなと思ってもらうきっかけをこちらからもっと仕掛けなければいけないなと考えています。
だから社員の新卒者採用も含めて、parkERsのメンバーには植物のプロではない人も採用しているんです。




ーーこれから活躍できる人に求められることはなんでしょうか?

梅澤:植物を取り入れる企業の方のニーズは増えていますし、より多様になっています。
なんとなく綺麗だから花を飾るとか、植物を植えたいという時代ではなくなっています。
でも、植物がいいのはわかっているけど自分自身の思いや要望を言語化することは難しいんですよね。
そこを、クライアントの代わりに言語化したり、プロジェクトとして形にする必要が出てきますね。

植物のプロとしてそこをできるようになると、できることが広がると思います。
植物に向き合うことと同じくらい、人に向き合うことが大切ですね。
企業の課題解決のきっかけや手段の一つが植物です。植物「だけ」が主役ではないということの意識がより重要になってくると思います。


ーー梅澤さんの講演等で印象深いのはホモサピエンスとか、人がフェイクグリーンに持つ印象についてのパートでした。そうか、植物だけでなく人間のこと考えなくては!と、私もハッとしました。

梅澤:植物って魅力的だし、奥深いので突き詰めてしまいたくなりますよね。
もちろんそれでいいと思うのですが、自分の苦手分野は仲間を作って補い合った方がより活動も広がると思うんです。
parkERsでは社内にその体制が整ってますが、社外にも生産者さんや研究機関、学校などたくさんのパートナーがいるんです。
植物という軸はあるけど、ジャンルを超えて繋がりを作っていける人が増えれば植物業界がもっと盛り上がるのではないかなと……。




ーーフローリストやフラワーデザイナーさんたちも自分自身のブランディングに迷っていたりする方も多いですね。相談先や、オープンなコミュニティがないのも現状ですね。

梅澤:それを植物生活さんで仕込んでくれても面白いんじゃないですかね。
みなさん悩むことは結構似ていたりするので、解決策はきっとシェアすることで楽になる人、楽しくなる人はたくさんいると思います。
植物にすでに関わっている人も、まだその魅力に気が付いていない人も、より自然な形で繋がっていけるといいですよね。


ーー多くの植物業界の人が勇気付けられる内容でした。お忙しい中ありがとうございました。

訪問した人・取材/植物採集家 古長谷莉花
http://the-apoke.com/

撮影/三浦希衣子


話をうかがった人
梅澤伸也
1980年、群馬県生まれ。パーク・コーポレーション parkERs(パーカーズ)事業部 ブランドマネジャー。ソニー・ミュージックエンタテインメント、楽天を経て現職。アフリカ・ケニア旅行で自然や植物の潜在的な力に触れたことがきっかけとなり、パーク・コーポレーションへ転職。2013年、parkERs事業部を立ち上げた。
 

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