jardin nostalgique jardin nostalgique 41ヶ月前

ポエティックな秋のシャンぺトルブーケ

こんばんは!jardin nostalgiqueの青江です。
10月ももう後半。
朝夕が寒くなってきたり、夕暮れが早くなってきたりして、
時間とともに、季節がちゃんと進んでいることになんだか安心する気がしています。
特にここ数日はようやく秋晴れが続き、
お店の鉢植えも嬉しそうだし、
毎朝鉢を並べる自分も、間違いなくお花と一緒に嬉しがっています。

市場では実はもう、アネモネやフリージア、ヒヤシンスなどの
春のお花が到着しています。
やろうと思ったら、フリージアとワレモコウ&紅葉のブーケなんてことも出来てしまうわけで、
早送りされている季節には背徳感にドキドキしつつも
クリエイションの幅が広がるのかもー!と思う自分もいます。
あえてその組み合わせをしたくなるテーマやキーワードが見つかったら、
いつかやってみても良いかもなーって。
いつかその時が、来るかな!?

そんな話はさておき、
今回のコラムでは、ど直球で秋を表現したブーケをご紹介します。
ポエティックな秋のシャンペトルブーケというタイトルでご提案したブーケは、
自分が留学時代に束ねたブーケを思い出して、原点に帰る気持ちでご提案しました。
約1年半の留学で、一番好きになったスタイル、シャンペトル。
自然の風景を連想させるブーケです。

いろいろなテーマを決めて表現するブーケレッスンでは、
花を、色・質感・大きさなどでとらえて、ブーケを構成する部分もありましたが、
シャンペトルブーケでは、花は花らしく、木は木らしく、
そのままをそのままとして活かすことを考えます。
季節も、季節のままに表現していきたいです。

それ故に、秋のシャンペトルブーケでは、自ずと花選びに
蕾も花も実も交えたくなって、もちろん紅葉なども入ってきます。

花が咲いて実がなって熟していくこと、
新緑の葉だった葉も成熟して、寒さで紅葉していつか落ちていくこと、
「今」に至るまでのいろいろ、「今」から始まるいろいろを想像させること、
自分はそういう雰囲気を、ポエティックという言葉で表現しています。

今回はシャンペトルという表現に、このポエティックという言葉を添えて、
自然の風景を表現することと、
今の様子だけではない時の移ろいを想像させるようなブーケにしたいなーと思っていました。
あとは、ポエティックという言葉の響きから、
ちょっと可愛らしい雰囲気やロマンティックさをふりかけ的にまとわせてたいと。
これは自分の勝手な好み。
熟した実は小鳥が食べて別の森に運ばれて、新しい芽生えが訪れる。
ハッピーなかわいいストーリーを思い描いてもらえるブーケにしなくてはなりません!笑

花材を選ぶ為市場にいる時間は、
市場を野山と思い散策している気分。
視野を広くして「見つけた!」とばかりにときめく花材を探していました。

選んだ花材は、5種類以上の違う葉色を持つ枝物と、
ハッピーストーリーを演出する優しい色合いの花達。
そして秋の実とそよぐ穂と。
秋は葉の色だけでも華やかなブーケになります。
市場はなかなか素敵な野山でした(笑)。

束ねる時にいつも思い出すのは、フランスでシャンペトルブーケを束ねていた際に言われた
「Il faut que ca soit volumineux.」という言葉で、
広大な風景を思い出すように、風が通るように、ボリューミーに!ということです。
その心意気は枝のお掃除や切り分けから現れていくので、
枝をお掃除しながら、頭にその言葉がエンドレスで流れたりします。

ただ、ここで自分が付け足した、ポエティックという要素を表現することを考えると、
大きすぎた場合、かわいらしさロマンティックさのふりかけが足りなくて、小鳥も飛んでこないので、
ある程度、色の調和やブーケらしい密度感は出して、ポエティックふりかけ味を加えられるようにしました。




それでも大きなブーケ。
束ねる時は、ブーケロンのように上から見て束ねるというより、
ブーケを常に回しながら横から見て、その広がりでバランスをとらえます。
シャンペトルブーケは横顔がとっても素敵なブーケなので、
まさに自然の風景を眺めている時のように、その様子を楽しみながら、
奥行を加えていく感覚で束ねます。

参加いただいた皆様は、大きなブーケで大変そうな場面もありましたが、
束ね終わった後は達成感とともに、ブーケの風景を楽しんでくれたように思います。


束ねていた時に気になった部分も、出来上がったら全然気にならない。
そんなブーケな気がします。
作る人がこうしなきゃ!こうしたい!と思ったことは、
意外と大きな全体の中では些細なこと。

必然や絶対を探すブーケではなくて、
遠くから眺めて、空気の中に溶け込むような優しい輪郭や、色彩を瞬間的に美しいと思える
近づいて見て、ハプニングや自分だけの発見があると嬉しいと思えるブーケ。


自分が好きなシャンペトルブーケが何で好きか、
再認識したレッスンでした。

そんなこんなで、フリージアとワレモコウと紅葉のブーケは、
今の自分にはない新しい感性が降ってこないと、
まだできないのかなーと思います。結局(笑)。


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この記事のライター

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ジャルダン ノスタルジック、2012年にオープンした東京・神楽坂にあるフローリストの青江、フローリスト/パティシエの加藤が経営する花店。おもちゃ箱をひっくりかえしたような、懐かしくてわくわくするお店づくりをコンセプトにした店内には、青江・加藤が選んだ季節の花とともに、焼き菓子、ハーブティーや花器、フランスのブロカントなどの雑貨が所狭しと並んでいる。土日の15時からは店内の一角でカフェも営業中。

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