植物生活編集部 植物生活編集部 80ヶ月前

レモン生活はじめてみませんか? その4


レモンの赤ちゃんは最初、小指の指先程度の大きさ。見ていると愛しさがこみ上げてくる。
 
 
これまでの「レモン生活」
→ レモン生活はじめてみませんか? その1
→ レモン生活はじめてみませんか? その2
→ レモン生活はじめてみませんか? その3

愛しいレモンの赤ちゃん


ジュリエッタ・ガーデンの国吉純です。

5月、レモンの花が咲き終わり6月にレモンの木に近寄ってみると
ちっちゃなちっちゃなレモンの赤ちゃんが、花が咲き終わったところについているのを
発見するでしょう。
5ミリ程度の大きさでも、ちゃんとレモンの形。

ああ、かわいいなぁ!
わぁ、たくさんできてる、、、、!!
やだやだ、収穫したらわが家だけでは食べきれないじゃないの!!

と、妄想してみるのですが、
ある日木に近づいてみると、、、
あれ?? 株元の土の上に赤ちゃんレモンが大量に落下!!!


えっ?? どうして???
 
枝が重たくなリ撓む(たわむ)くらい、
黄色いレモンでいっぱいになる姿を想像していたのに、、

とがっかりですよね。

前回、その原因のひとつをご紹介いたしましたが、
どうも、他にも育て方のポイントがありそうです。
 

悲しきジューンドロップ


6月。

レモンの花びらが落ち、それと一緒に
せっかく果実の形になってきたレモンの赤ちゃんも落ちます。

これを、ジューンドロップ、6月の落果と言います。
受粉や受精の失敗、果実と枝葉の栄養の奪い合いなどで起こると言われています。
レモンは、ひとつの実をならすのに、約25枚の葉っぱが必要です。
大まかに葉の数を数えてみて、
その木に幾つレモンをならすことが出来るか把握し、
約25枚に1果を目安に摘果しましょう。
万が一、落果がなくとも、
もしかしたら生育の途中で落果したり、最後まで残っても実が小さく、
果汁が十分入らない可能性があります。
 
 
 

7月。

梅雨が明けると晴天の夏日が増えます。
葉で光合成を行い葉も濃いグリーンに、
残った果実も少しずつ大きくなり始めます。
この時大事なのが、潅水
露地植えの場合、10日間ほど雨が降らない場合には
たっぷりと水やりをするようにしましょう。
鉢植えの場合は、様子を見ながら、2、3日に1回の潅水が
必要になってきます。

また夏にぐんと枝が伸び、栄養状態がよいとまた花が咲き始めます。
うまく着果すると、越冬して春によく収穫できますが、
木の栄養状態や暖冬地ではないと、難しいと言われています。
なので、春に咲いた育成中の実を収穫したいならば、
夏花の蕾を全部摘み取リます。(摘蕾 てきらい)

また、夏の施肥も、5月ごろと7月のこの頃に行います。
 

レモンは大食い!?

一般的に柑橘類は他の果実に比べて肥料食いと言われていますが
その中でもレモンはかなりの大食い。
 
春肥、夏肥2回、秋肥2回。
 
春の肥料は2月、あるいは鉢植えかえの3月頃。
夏肥1回目は枝肥といわれる5月。
夏肥2回目は実肥といわれる7月。
秋肥3回目は同じく実肥で9月。
そして、最後の秋肥はお礼肥で11月。
 
約2カ月に一度の施肥と覚えておきましょう。
施肥量は、春肥が全体施肥量の5割、
夏肥2回、秋肥は1割ずつ、
秋肥2回目は、2割程度です。


さて、肥料には、有機質肥料と無機質肥料(化成肥料)があります。

有機質肥料には、油かすや鶏糞など。
緩効性という肥料成分がゆっくり穏やかに効いていく性質があり、
木を無理なく大きくするのを助けます。

ただ、特有の匂いがあるものも。ご近所さんに対して匂いが気になる、
鉢植えで、冬は屋内に鉢を取り込まないといけない場合には、有機質肥料は不向きです。
無機質肥料である化成肥料は、肥料分も多く緩効性と速効性の両方があり、
また無臭です。

私は、骨粉を加えた油かす、あるいは鶏糞、魚粉を植え込みの際に使い、
その後は化成肥料なども組み入れながら、レモンの鉢植えを育てています。

油粕は、窒素、リン酸、カリウムを含んだ有機肥料です。
アブラナや菜の花、大豆、綿実、米ぬか、ごま、落花生、ひまわり、とうもろこしなどの植物が原料です。
骨粉は、窒素やリン酸、カルシウムを多く含んだ肥料です。
窒素とリン酸を多く含んでいるので、葉や茎を育て、花を咲かせる植物に適しています。
植物の元肥として土に混ぜればゆっくりと分解される有機肥料になります。
他に柑橘農家さんが使っている肥料としては、魚粉があります。
魚粉は、魚を乾燥させて粉末状に砕いた有機肥料で、
窒素とリン酸を含んでいることから、実を収穫する野菜や果樹におすすめです。
骨粉に比べてさらに分解されやすいので、肥料効果が早く期待でき、
植え付けのとき土に混ぜ込んで使われます。

私のよく知るレモン農家さんもその年の天候や木の状態を見ながら、
施肥の内容、量などを工夫しているようです。

皆さんも自分なりの施肥内容を考えてみるというのも
レモンの木を育てる楽しみのひとつになるのではないでしょうか??
 
 
 
 

施肥量の目安


赤ちゃんを育てるのって、、、

人間でもレモンでも大変なのね、、、

 
とため息をついてしまった新米お父さん、お母さん!!!

あともうひとつ、肥料をあげる量についても知っておきましょう。


人間の赤ちゃんは、水分をとりながら、少しずつ離乳食から始まり
大人と同じ量を様子を見ながら与えていきます。

植物でもご飯=肥料の与え方は同じです。
いきなりたくさんは、、、、、食べれない。
身体の大きさに合わせて、肥料の量も調整していきます。

先ずは、肥料袋の裏面に記載されている施肥量を必ず確認しましょう。
木がまださほど大きくなっていない場合には、化成肥料などは、
窒素(N)、リン酸(P)、カリウム(K)の割合が(*)
10:10:10の肥料を用い、しっかりと身体づくりをしてあげると良いでしょう。
 
*「窒素、リン酸、カリウム」の3種を肥料の三要素と呼びます。
  それぞれの栄養素は植物の生長を部分的にサポートし、窒素は葉や茎、
  リン酸は花や果実、カリウムは根の生長をサポートします。
 


庭植えの場合、樹冠(枝葉が横に広がった状態の寸法)が1mならば、
2月に骨粉入り油かすを約300g、5、7、9月は緩効性化成肥料を各30g、
11月は​速効性化成肥料を60gほど。
鉢植えでは、
8号鉢で2月に骨粉入り油かすを約60g、5、7、9月は緩効性化成肥料を各6g、
11月は​速効性化成肥料を12gほど。
そして、肥料をあげたら、たっぷり水を与えましょう。
 
ちなみに、鉢の直径が24cmが8号。1号を3cmで計算します。
また、ひとつまみは約3g。一握りが約30gぐらいです。
 
 
特に鉢植えの場合には、施肥をいっぱいあげるなどの余分な愛情は御法度!
肥料を多く与え過ぎないように注意しましょう。
あくまでも赤ちゃんレモンの生長に合わせて、ね!
 
 
書いた人
国吉 純
園芸家、レモン研究家。

上智大学文学部教育学科卒業。大学卒業後大手電気メーカーにて秘書を務め、退職後出会った園芸の世界で、造園、暮らしの中での園芸を、ガーデンセンター、雑誌等で紹介。園芸専門学校等での講師をはじめ、住宅関連企業、集合住宅等で「楽しく簡単に華やかに育てる」をモットー に年齢や場所に関係なく植物と触れ、育て、楽しめる植物選び、メンテナンス法などの指導にあたっている。広島瀬戸田レモンの販売拡大事業と園芸療法による高齢者施設での活動が広く注目されている。 

有限会社ジュリエッタ・ガーデン代表。
http://www.juliniwa.com
http://ameblo.jp/giulietta-lemon/

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