植物生活編集部ライター 植物生活編集部ライター 56ヶ月前

ヨーロッパのクリスマス事情|ドイツのアドヴェントの楽しみ方


ミュンヘンの中心部にあるマリエン広場のクリスマスツリー


ドイツのクリスマス行事は約4週間前の第一アドヴェントからはじまります。
アドヴェントは11月30日に最も近い日曜日からはじまるので、早い年では11月27日、遅い年では今年のように12月3日と変わります。

クリスマス前までの4回の日曜日を第1~第4アドヴェントと呼びます。

アドヴェントとはイエス・キリストの降臨を迎える準備期間のこと。

そこからクリスマス・イブへと盛り上がりを見せ、1月6日の公現祭の日に飾りを片付けます。

公現祭とは、イエス・キリストを礼拝するために東方から三博士が訪れた日を記念した日。

フランスではガレット・デ・ロワが食べられています。



街の中のおもちゃ屋の装飾


一般家庭では、11月末頃から第一アドヴェントとクリスマスに向けて準備がスタート。
花店では早いところで10月半頃から準備が徐々にはじまります。


クリスマス仕様に模様変え後の花店の店内


一般家庭では、テーブルの上にはアドヴェントクランツ、壁に手作りのアドヴェントカレンダー、ドアリースやモミ、クルミ、乾燥オレンジ、シナモンなどをアレンジした飾りを第一アドヴェント直前には準備し終えます。

アドヴェントクランツは、ワラをリース状にした土台にモミ、ドイツトウヒなどを巻き付け、キャンドルを4本取り付けたもの。

吊るしたり、テーブルに置いたりして、第一~第四アドヴェントにキャンドルを1本ずつ灯していきます。

アドヴェントカレンダーとは12月1日~24日にかけて日付の書かれた窓を開けていくクリスマスを待つカレンダーです。



クリスマスマーケットの様子

家庭によってレシピの違う伝統的なクッキーやシュトーレンなども並び、アドヴェント中いつでも食べられるようにセッティングします。

シュトーレンは、ラム酒に浸けたドライフルーツがたっぷり入った菓子パン。

表面にかかった粉糖は雪を表わし、切り分けた時に雪山のトンネルを思わせることからドイツ語で坑道を意味する名がつけられています。

イブにはイエス・キリストの降誕のシーンを表わしたジオラマである「クリッペ」を出し、モミの木にオーナメントを飾り家族でお祝いをし、翌日、親族に挨拶をするのが一般的です。


定番色の赤を使ったアドヴェントクランツ


アドヴェントクランツの由来


アドヴェントクランツは、1839年頃にハンブルグの神学者、教育者であったヨハン・ヒンリッヒ・ヴィヒェルンが、クリスマスを待ち遠しく思う子供たちのためにカレンダー替わりとして馬車の車輪をリースに見立て20本の赤い短めのキャンドルと4本の白い大きめのキャンドルを飾ったのがはじまりとされています。


赤色が特徴的なニュルンベルクにあるフラウエン教会のアドヴェントクランツ


1860年頃にはキャンドルが4本となり、モミのリースを使うようになってきました。

1925年には教会にも飾られるようになり、キャンドルの色は典礼色の紫3本、第3アドヴェント(喜びの日曜日)に灯される淡いピンク1本、そしてリボンとシンプルなものが多いです。

その後、ドイツ東部のザクセン州では赤いキャンドルが使われるようになり、今では一般的な色となっています。

現代では、赤のキャンドルを使用することが多い一方、ホワイトクリスマス、優希を連想させる白、高貴さ、星、キリストの降誕を表す金、永遠の命を表す緑、それ以外にも流行に応じたキャンドルの色の選択をするようになっています。


教会、クリスマスマーケットや自宅などで飾られる



教えてくれた人
髙智 美乃 Mino Kochi

愛媛県出身。2005年よりドイツ・ミュンヘン市内の花店で働きはじめ、09年にドイツ国家認定フロリストマイスター取得。約10年間のミュンヘン滞在を経て15年に帰国。現在は愛媛を拠点に日本各地で活動中。公益社団法人日本フラワーデザイナー協会本部講師、厚生労働省認定フラワー装飾技能士1級。

 

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