植物生活編集部 植物生活編集部 57ヶ月前

続・きょうの花活け  花と鎌倉とウーロンと、ときどき茶話。/vol.16 青実赤実


vol.16 青実赤実


こんにちは! CHAJINです。

こちらは、かつて月刊フローリストさんで連載させていただいていた
「花と鎌倉とウーロンと。」のエピソード2……とでも言いましょうか。

季節ごとに出逢う日々の花あしらいについて、
花活けを始めたばかりの植物好きなアラフォー女子のMちゃんに
わかり易~く(時に脱線しながら)お話ししてゆくWEB版の花教室みたいなコーナーです。

また、アトリエのある鎌倉界隈のことや愛猫ウーロンについての茶話も綴っております。

諸々緩さ満載ながら、皆さまの日々の花活けに少しでもお役に立てればうれしいです。
それでは今回もよろしくおねがいします~!
 


花と

CHAJINさん
(以下C)「今回はブルーベリーと、赤い実のジューンベリーです」

植物好きなアラフォー女子M(以下M)「ジューンベリー!」

C「ジューンなんで6月にちょっと戻っちゃう感じですけど(笑)」

M「(笑)。でもかわいいですね、赤くてツヤツヤしていて」

C「そうなんです。今回はミックスして使っていますけどジューンベリー単体でも、ブルーベリー単体でもかわいいので、それが合わさって2倍2倍、みたいな」

M「2倍かわいい!」

C「個人的にはパワーがあって好きな感じなんです」

M「ふんふんふん」

C「ジューンベリーもブルーベリーも6月くらいから花市場で出てきてはいるんだけど、ほかにもブラックベリーとかラズベリーとか、そういった“なんとかベリー”みたいなそういうものが夏の始まりみたいな印象があって」

M「そういった“なんとかベリー”たちは、夏の始まりに一気に出回りが増えるものなんですか?」

C「印象としては(初夏のこの時期はそうしたベリー系の)種類が多いかもしれない。あと“なんとかベリー”って名前じゃないけど、スグリとかも」

M「あぁ! スグリとかもいいですよね」

C「一見ジューンベリーもスグリとも見間違うほど似てますけど」

M「ですね」

C「夏の始まりはもちろんいろんな花がほかにもあるんですけど、個人的には実ものにすごくフォーカスされるんですね。熟して、実もので、色があって……みたいな、そういう“実り系”な感じは切花とはちょっと違った魅力というか。あと重みでちょっと枝垂れたりとかもいいですし」

M「かわいいですよね、この枝がたわんでいる感じというのが」

C「ね。だからそういうところが今回の軸というか」

M「なるほどです。ちなみにブルーベリーは、この作品の中の緑や紫の実ものですよね」

C「はい」

M「ブルーベリー、紫色になる前の緑の若い実も付いていてきれいですね」

C「そうそう、これが時間経過とともに、全部じゃないですけど少し熟してブルーベリー色みたいになってくるっていう」

M「色が変わってくるの、楽しいですね!」

C「ですね~。あとは枝ものなので、そのまま飾ってもフォルム自体に少しニュアンスがあったりして。切花だと、たとえばカーネーションだったら細い茎があって細い葉っぱが左右についていて、ヘッド(花)が大体これ(手の平)くらいの大きさで……という感じだけど、枝ものって一個一個枝振りが違うので、たまたま曲がったヤツが今回ここへご縁があって来たな!とか、それをどう飾るかっていう楽しみがあるので、そういうところはちょっと切花とは違うかなって思いますよね。同じブルーベリーでも短いヤツはちっちゃい瓶に飾ろうか、とか」

M「ほぉー。そんな枝ものを生けるときって、こうすればいいよっていうアドバイスはありますか?」

C「あぁ~、えっとね、これも好みでかなり左右するんですけど」

M「はい」

C「結構ブルーベリーとかは葉っぱもいっぱい付いているので、枝のフォルムとか抜け感みたいなものをすごく伝えたい人は、葉っぱの量で調節するとか。もし束ねたときに緑の要素が強まったら、ちょっと葉っぱ間引くとか。そういうことの調整で実の見え方が、グリーンの中に垣間見えるような感じが好きなのか、もうちょっと葉っぱの量が少なくて実の方がもっとワッと出てくる感じが好きなのか。そこはそれぞれ好みだったり、あと飾りどころによってもっと実がフィーチャーされた方がいいような場所だったりすれば、少し葉っぱを加減するとか」

M「おぉ、なるほど~! 葉っぱの加減で枝を見せるか、実を強調するか、と」

C「そうやっていろんなTPOに合わせると大分違うかもしれません」

M「了解です! じゃあ、自分がどういうイメージで飾りたいかっていうのが割と大事、っていう感じでしょうか」

C「そうですね~。まぁ今回に限ったことではないんですけど、それはね」

M「確かにそうですよね。あとこれは束ねて生けたりしているのでしょうか?」

C「これは、この花器がスクエアなので、その角っこのところに枝をちょっと留めるような感じです。どっちかっていうと重ねて生けてるみたいな感じかな」

M「重ねてですか」

C「そうすると枝の方は枝の方で、反対側の角っこの方に留まるので。もちろん円柱の花器とかでもこうした生け方はできるんですけど、比較的重みのある枝とかは器のちょっとカクっとしたところに合わせると花器の中で留めやすいです」

M「なるほど、四角い花器の角っこを利用して生けるんですね」

C「なので一個こうしたスクエアの花器を持っているといいかもしれません」

M「スクエアの花器、いいですね。使いやすそう!」

C「こういうスクエアの器って、なんか100円ショップでも売ってるフォルムかも」

M「そうですね、シンプルだしありそう」

C「だから便利かもしれません」

M「四角い花器って、器だけ見るとハイレベルな感じがしていたんですけど、お話を聞くと角っこで枝が留まってくれるから、私みたいな素人が生けてもそこそこなんとかなりそうな気がしてきました(笑)」

C「そうですね~、意外と花瓶が手伝ってくれるタイプの花瓶かもしれません。あとは透明なので水の量でもニュアンスを出せる。暑さの中で飾るとか、寒さの中で飾るとかそれぞれの季節に合わせたときに、水の量がどうだとかでも大分ニュアンスが変わるので」

M「水の量っていろいろな意味で大事ですよね」

C「最近あえて水の量を低めにしてオシャレ感を出す、みたいな演出を割とよく見かけるんですけど」

M「へぇ~! そんなトレンドが」

C「僕なんかは自分が水をいっぱい飲むので、どちらかというと満杯に近いくらい水を入れてあげたくなっちゃいます(笑)」

M「お花も喉乾かないように(笑)」

C「そうですね~。花的には水が低いのがイマドキなんだけど、心持ち的には僕は自分がいっぱい飲むから、少し満たしてあげたい気持ちになります」

M「優しさですね~!」


枝にたわわに成る小さな実もの、
そしてその実の重さで緩やかに曲がる枝の姿。
これって実付きの枝ものならではの魅力かも!
花屋さんに行くとついつい花を買いたくなりますが、
実が付いた枝ものっていう選択肢もアリだな~って思いましたっ!(byM)


 

ウーロンと、



愛猫菓子


ふと、愛猫がお菓子になったらどんなものか?と思いたち、
パティシエの友人にオーダーをしました。

友人のお菓子は、どれも折り紙付きの美味しさなのですが、
なかでも絵心のあるアイシングクッキーは代表作でもあり、この頃人気も急上昇中!

ウーロンには以前に会ったこともあるため、イメージもバッチリ共有!
ということで、あとはひたすら完成を心待ちにしておりました。

数日後、手渡された愛猫は、
今にもニャオ~と鳴き出しそうなベビーフェイスな仕上がりで。
いつもの彼女の画風と一味違う繊細なタッチにも感動を覚えました。

そして、そのまま我が家に落ち帰り、いざ実食!
と、試みてみたものの……、
あまりにもウーロン似なこともあってか、もったいなくてなかなか食せず(笑)。

なので、このまま賞味期限ギリギリまで飾っていそうな気もしますね。



*目にも楽しくて、美味しいアイシングクッキーのレシピが諸々詰まった友人(mioちゃん)の書籍です!ぜひ!

https://www.seibundo-shinkosha.net/products/detail.php?product_id=5924




ときどき茶話、



青実感謝


このところ各花教室では、花材として
ブルーベリーやブラックベリー、チョコベリーなどの
諸々サマーベリーもご用意させていただいておりました。

他の季節に比べて、
夏ならではの実モノ尽くし!な感じであしらう方も多く、
どれも美味しそうな仕上がりでしたね。

そんななか、
生徒さんからブルーベリーを頂戴するといった、うれしいサプライズもあったりで(拝)。

加齢によるものか(汗)、
老眼にブレーキが効かない昨今の自分としては、ほんとうに有り難いプレゼントでした。

その後、毎日食しているせいか、
これまでよりも何となく、視界がシャキーン!っと、クリアーな気もしています……。

思い込み~大事!!(笑笑)




プロフィール

CHAJIN/チャジン





フラワーアーティスト。
ORIGINAL FLOWER STYLE CHAJIN 主宰。

暮らしまわりの雑貨と季節の花を合わせ、個性的でありながらもカジュアルな花あしらい、存在感あるリースの作品が得意技。
雑誌や広告の花活け、店舗や温泉宿のディスプレイ、展示会の花活けの他、
鎌倉のアトリエや、池袋コミュニティカレッジ、NHKカルチャー青山教室、NHKカルチャー横浜ランドマーク教室、二子玉川高島屋S.C教室ほか、都内各所で開催中の花教室も人気。
著書に『きょうの花活け』(誠文堂新光社刊)、『花活けのココロ』(主婦と生活社刊)、
『小さな花あしらいと12ヶ月の花の話』、『季節の花でつくる12ヶ月のリース』(ともに芸文社刊)がある。
紅茶好きでプロレス好きで愛猫家。鎌倉在住。  

インスタグラム instagram.com/chajin_eye

これまでのお話はこちら


 
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この記事のライター

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「植物生活」とは花や植物を中心とした情報をお届けするメディアです。 「NOTHING BUT FLOWERS」をコンセプトに専門的な花や植物の育てかた、飾り方、フラワーアート情報、園芸情報、アレンジメント、おすすめ花屋さん情報などを発信します。

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