植物生活編集部 植物生活編集部 17ヶ月前

花店インタビュー|新しい日本の「花の台所」に|すみれ花店


 


文化の町として有名な岡山県倉敷市。
かつて天領として商業が栄えたこの街には、いまだ白壁の街並みや多くの情緒深い美観地区を残しています。
この地に店を構え、創業72年目。

「すみれ花店」はもともとは商店街の中に店がありました。
この商店街を含むエリアが再開発となり、マンション、飲食店を含むショッピングモール、ホテルが複合的に入った「あちてらす倉敷」が2021年10月にオープンしました。
 

70年という節目に、店をリニューアル


以前の店構えはいくつかの棟を増設していたので、それぞれの空間が孤立していました。
リニューアルにあたり、動線を繋ぎ和と洋が融合した空間を再構築。

今まで支えきてくれた大切な柱と梁は残すことを優先的に考えたので、これまでお客様と歩んできた時間も新しくなった店に息付いています。

これからも地域に愛される専門店として、花のある生活が日常に思えるような店作りをしていくとのこと。

「花の台所」をテーマとした店作り


店のロゴも新しくなりましたが、歴史の名残を引き継ぐように、今までのデザインを活かした上で、親しみやすくブラッシュアップ。

食の店に言いかえれば、高級レストランではなく、庶民的な店。
日々食すものを扱う店。
特別なものではなく、毎日のものことを扱う店。



古来、日本では「かまど」を家の中心として考え、自然の恵みから暮らしの彩りを生み出してきました。

かまどの中には神様がいて家を守ってくれているという精神性がありました。
現在では台所そして、キッチンとなり、喜びと新しい感性が生まれる場となりました。

「そんな日々の生活中で、何かほんのちょっとクリエイティブなイメージをお客様と共有できたら嬉しいです。すみれ花店では、四季の移ろいを感じる季節の枝ものを合わせてアレンジしています。自然に寄り添う年中行事などの精神性も大切に考え、みなさまの『花の台所』でありたいと思っています」と代表取締役の高橋正明さん。

基本と自然を大切にしつつトレンドを盛り込んだレッスンも行っている同店。
職人的な部分も大切することを伝えるブランディングコンセプトをきちんとプランし、昔からあるものを引き継ぐ形でのリニューアルを心がけたそうです。

フラワースクールでは、JFTDジャパンカップで優勝を重ね、グランドチャンピオン選手権優勝の後、日本代表として Interflora World Cupに出場し世界3位となった専務の高橋洋子さんをメイン講師として、層の厚い講師陣が確かな技術を丁寧にレクチャーしています。

ヨーロピアンフラワーデザイン・いけばな・自然の色彩原理を用いたカラーコーディネートなど、キッズからプロのフローリストまで、レベルに合わせたレッスンを幅広く行っています。




店頭のシーズンディスプレイは必見です。








中に入ってもらいやすい店構えを目指し、作業場と店をゾーニングしてしっかり分けています。
表は和モダンの雰囲気で、中では大きなテーブルで花を組んだりアレンジを作ってる姿も見てもらえるような店に。








「お客様とも、一緒になってひとつのものを作っていくっていうイメージを、もっと持っていきたい」と高橋代表。

道路側はガラス張りになっているのでオープン空間になっていて、大きなアレンジメント制作や接客している姿も見える、これも「花の台所」の一つの魅力です。





リニューアル後の傾向は「若年層のお客様、男性のお客様がコロナ禍のステイホームで植物を見直してくださっているという印象を受けます」とのこと。

いけばなの先生方も顧客として多いので、昔から枝物、葉物の扱いには自信を持っている同店。
そのような昔ながらの強みもありながら、新しい顧客層も取り込んでいるようです。


「倉敷の歴史あるホテルやレストランでのウェディングやパーティー装花にも力を入れています。皆さまの描く思いを、四季折々のお花で一緒に実現させて頂きたいと思いますので、なんでもご相談ください」











新しい取り組み、商品企画

オリジナルブランド 『くらしきくらし®︎』

最近では、地元真備町の名産物である竹炭とコラボレーションした商品などを生み出しています。

名産の竹でできた炭は、空気浄化の効果があるので室内装飾にもおすすめです。
現代の生活空間のサイズに合わせたオリジナルの花器や水盤などを、作家に制作してもらっているという商品。
それらを使用して日々の生活に添える「くらしきくらしの花飾り」の提案をしています。

「器の需要も増えていて、一輪挿しなども人気があり生活の中にお花が溶け込んできているなと感じています。苔や倉敷のいぐさを使用したアレンジメントやキャンドルなど、地域性をしっかりとうち出し、和の文化もいろいろな形で提案ができたらいいなって思っています。
帆布メーカーさんとコラボレートしたラッピングの帆布は、ぜひ再利用して形を変えて使用していただけると、微力ながら環境に優しい活動ができるのではと考えています」と高橋さん。









「私たちも、花と一緒に花器の使い方提案をしながら、仕入れや企画商品のアイデアを出し始めています。倉敷の井草などの灰を入れたキャンドルを使ったアレンジ、地域性をしっかりとうち出し、和の文化をいろいろの提案ができたらいいなって思っています」






暮らしにおいて、人はどのように振る舞いを変えていくのか。
そういうことに呼応するかのように、新旧の文化を取り入れた商品やサービスを展開に注目が集まります。


取材・文/植物生活編集部 写真提供/すみれ花店


教えてくれたフローリスト

高橋 正明
すみれ花店代表取締役

花の台所  すみれ花店
岡山県倉敷市阿知3丁目8-8
http://www.sumire-hanaten.co.jp

ネットショップ
https://sumire-hanaten.net

Instagram @sumire_hanaten



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昭和24年の創業以来、地元の方々に愛され育てられて70年以上、変わらぬ営業をさせていただいております。

電話番号 086-422-0888
URL http://www.sumire-hanaten.co.jp
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