植物生活編集部 植物生活編集部 76ヶ月前

花店インタビュー|20年間の経営で学んだこと|博物花屋マニエラ


今回は、三重県の伊勢にある博物花屋マニエラさんにお話を伺ってきました。
商品やディスプレイのこだわりだけでなく、お客様への「ひと手間」を如何に工夫するかをお話しいただきました。20年の経営で学んできたことをインタビューさせていただきました。

植物花屋マニエラ、店名「博物」の由来

マニエラ店内


博物学とは、自然に存在するものについて研究する学問です。動物・鉱物・そして植物。
表面的な美しさだけを楽しむのではなく、博物的なエッセンスで美しさを味わいたいと考えました。花の形態や、構造の進化の秘密。生存戦略の秘密。経年による美しさ。見方、確度、置かれる場所による変化。そういった多様性ある美しさを感じていたいと思って、お客様がふと漏らした「博物花屋」をいただいて名乗っています。
 

興味と好奇心をもっていただけるのが喜びです


興味を持って眺めていただくだけのお客様も大歓迎です。癒しだけでなく、感性を刺激できるようなお店になれればうれしいです。
お店作りも、ディスプレイによる表現の幅が広がるように、什器はすべて手作りやオーダーメイドです。高さによる表現や、立体感による演出をするためです。

自分たちにしか出来ない仕事を


弊店の立地している地方ではウェディングの仕事はとてもやりがいのある仕事なのですが、人口縮小の中、徐々に減っているのを感じていました。また、様々な調整に時間もかかってしまい、足を運んでくださっている店頭のお客様にご迷惑をお掛けするリスクもあります。そのためウェディングは既存のお客様を中心にとどめ、店作りと造園に力を入れています。
 

コロナで増えたホームユース



ウェディングや活け込みなど減った仕事もありますが、ホームユースでの購入が格段に増えています。
切り花だけでなく、観葉植物や庭木・草花と、日々の生活の質を高めるようなものを求めるお客様が多くなっています。ネット販売もニーズはありますが、スタッフも少人数のため、ネット販売に関しては「その日の仕入れによるおまかせアレンジメント」を提案しています。

 

オリジナルのフラワーバックでお客様の満足度が向上するように工夫


フラワーバック

せっかくの生花のアレンジメント花束ですから、気持ちよく持って帰っていただけるように、オリジナルのフラワーバッグを作りました。
その後もエコバッグとして愛用いただけるように、布製でマチを広く、内側はビニール加工しています。このひと手間で、お客様に気軽にフラワーギフトを楽しんでもらえるのではないかと思っています。

 

20年間の経営で学んだこと


自分自身が納得できる楽しい仕事をすることが、誇りをもって仕事を継続する秘訣であると感じました。誰かの下請けでする仕事は有難い一方で、どこか他人の時間を生きている気がするのも本心です。
納得のできる自分の仕事と向き合うためには、断る勇気も大事かもしれない、と考えるようになりました。特に、植物という生き物を扱っている以上、制約条件の多い仕事は、最終的に評価の低い仕事になるリスクもあります。生き物である植物を最大限生かすためには、案型の仕事の方が、苦労も多い分やりがいもあります。
そして、心を込めた仕事を継続することで、必ず応援してくれるお客様ができると信じています。お客様に満足していただけるひと手間を、これからも考え続けたいと思っています。
 

発想は自由に奇抜に


シンプルに、単色でまとめる花束やアレンジメントなどもよいけれど、
最近は素敵なマルチカラーの花を見るようになってきました。
素敵なカラフルフラワーをさまざまなお花屋さん、フラワーアーティストに作ってもらいました。

ビビッドカラーとアニマルエッセンスでパワーを


ビビッドな花色と毛皮風のポットカバーで、元気を表す「陽」の雰囲気を表現しています。
カラフルなのに毒を忍ばせることが制作ポイント。生花の中に蛍光色のミツマタを配し、スパイスとして使っています。


「発想はいつも脈絡がないような気もします」

それは、奇抜な発想でお客様に驚きと感動を与えている、博物花屋マニエラの大杉さんに、発想の源を聞いたときの言葉でした。
カラフルと元気というキーワードから思いついたのは「極彩色な鳥がやって来た」というイメージだったと話します。

「お願い、思い切りカラフルにして!」というオーダーがあるほど、多色使いのオーダーは普段から多いそうです。

すぐに真似できる多色使いのポイントを伺うと、「しいて言うなら、躊躇しないことでしょうか……」と打ち明けてくれました。

アンスリウム、シンビジウム、バンダ、リューカデンドロン、ガーベラ3種、ハス(ドライ)、トウガラシ、ワックスフラワー、キク、エリンジウム、フェイジョア、ミツマタ(染め)、メタラシア

 

教えてくれたフローリスト
大杉 隆志 Takashi Osugi

「博物花屋 マニエラ」のオーナー。1999年より伊勢市で店を構える。店舗には花や観葉植物だけでなく、孔雀の剥製やサンゴ、水晶、動物のオブジェなどが並ぶ。

博物花屋マニエラ
三重県伊勢市船江2-15-17

http://www.maniera.jp

facebook:@maniera.jp
Instagram:@manierafiorista

 

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この記事のショップ

ゴツゴツした流木とオリーブの木、大人の背丈をゆうに超えるサボテンが出迎えてくれる「博物花屋 マニエラ」。
いわゆる花屋のイメージとは違う、刺激的な空間には訪れる人の好奇心を満足させてくれる仕掛けが潜んでいます。

オーナーの大杉隆志さんは、サラリーマン時代を経て、畑違いの花業界に飛び込んだ異色の経歴の持ち主。
「おもしろい!」という新鮮な感覚を重視して集めた植物たちは、癒しや可憐といった花店の常套句とはかけ離れた雰囲気を醸し出しています。

ラッピングも独創的で、はっきりとした柄の布を使ったボックスは花を引き立てる脇役というよりも花の美しさと調和するインパクトあるものを使用。

営業時間 お問い合わせください
URL http://www.maniera.jp/
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