ウチダ トモコ ウチダ トモコ 45ヶ月前

シクラメンの原種、ペルシカムってどんな花?

原種だから、地味?

先月、「もっと知りたい! ガーデンシクラメン」という記事のなかで
ガーデンシクラメン誕生のいきさつについて書きました。

そこに、今、私たちがお花屋さんの店先で見かけるシクラメンは、
ガーデンシクラメンに限らず、
ほぼ全てが原種のシクラメン・ペルシカム(以降、ペルシカム)から
改良された園芸品種
だと書いたところ、

「へー。原種ってどんな花なんだろう。
お花屋さんにあるシクラメンと全然違うの?
原種っていうからには、地味?」
などなど
コメントをいただきました。

そこで今回は、原種、ペルシカムについて、
少しだけ紹介したいと思います。


シクラメン・ペルシカム
Cyclamen persicum

原産地 ギリシャ、トルコ、イスラエルなどの地中海沿岸地域
開花期 3月下旬〜5月上旬
香り 中香


シクラメン・ペルシカム。八重咲き品種「ヨコヤマ・ダブル」。 写真提供/横山園芸
 


原種のなかで、園芸化がブレイクしたペルシカム

そもそもシクラメンという植物は、
このペルシカムを含んだ23の種があります。
そのなかでなぜペルシカムの園芸化が進んだかというと、
この種はもともと、変異が出やすい特徴があったから。
そこに目をつけた人が、
いち早く選抜を試みたからではないでしょうか。

さらにペルシカムは、原種のなかでは最も生育が早く
タネまきから1年半で開花に至ります。
つまり、結果が早く見られるのも、
園芸化には都合がよかったのです。


さて、原種とはいえ、ペルシカムの大きさは、
市販されているガーデンシクラメンと同程度。
原種シクラメンのなかでは大きめのため、
自生地で目立っていたのも、園芸化が進んだ理由のひとつかもしれません。

それでも鉢花のシクラメンと比較してみれば
花だけではなく、園芸化によって
ずいぶんと株自体も立派になったものだなぁと驚くばかりです。

そして、花色は、薄いピンク色の口元に
濃ピンクが入るパターンが典型的。
そのほかにも、白や濃ピンクなどのバリエーションがあります。


シクラメン・ペルシカム。濃ピンクの個体。 写真提供/横山園芸

 

園芸種のたどった道、原種が目指す道

ところで、現在、鉢花で見られるシクラメンの花は、
大きくたっぷりした丸弁が多く見られます。
元となったペルシカムは、
尖って少しひねりが入った花弁ですが、
園芸化の際に花弁の形は、
まず、大きく丸くを目指して改良されていきました。
それにともなって、ゆるやかなひねりも取り除かれ、
原種とは大きく違った花形へと発展した経緯があります。

対するガーデンシクラメンには、
この細い花弁とひねりが残されているものがあり、
私たちはガーデンシクラメンのそんな部分に、
野趣と可憐さを感じて、惹かれていたのかもしれません。

また、近年のガーデンシクラメンには、
あえて細弁とひねり、そしてまばらに立ち上がる花茎が魅力の
「オールドファッション」と名打った品種も見かけるようになりました。


△ これはガーデンシクラメン。原種を彷彿させる花姿の個体。 写真/ウチダトモコ


一方、原種、ペルシカムでも育種は進んでおり、
多花性、八重咲きなどの品種も登場しています。


△ 横山園芸が作出した、ペルシカムの八重咲き品種「ヨコヤマ・ダブル」白花。 
 写真提供/横山園芸


鉢花シクラメンとガーデンシクラメンのシーズンは今が真っ盛りですが、
ペルシカムの開花期は、まだまだ先の3月下旬から

「花をぜひ見てみたい」
「香りを確かめたい」
という人は
ぜひ、来春の目標にしてみてくださいね。

ただし、23種ある原種のなかでペルシカムは、
流通量がそれほど多くないそうです。
ペルシカムの好みの花色や花形の株に出会うには、
専門店や展示会などをこまめに訪ねてみるとよいでしょう。


*本稿のペルシカムの写真は、原種シクラメンの生産育種で知られる
横山園芸の横山直樹氏よりお借りしました。

「直樹さん、いつか原種シクラメンの取材もさせてくださいね!」


text ウチダトモコ 写真 横山直樹(横山園芸)

 
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この記事のライター

ウチダ トモコ
ウチダ トモコ

園芸ライター、グリーンアドバイザー、江戸東京野菜コンシェルジュ。
園芸雑誌、ライフスタイル誌などの編集、ライターを経て、現在は主にウェブで提案および取材執筆活動中。

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