北国のコテージガーデンから[20]
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3月|育苗の喜び
こんにちは。梅木あゆみでございます。
△ タネまきから始まった私の園芸
私の園芸生活のスタートはタネまきでした。
自分でタネをまき、苗を育て、植えて楽しむ。
日々育つ草花や野菜の苗を見るのは、雪深い北国の園芸家にとっては、希望と喜び。
私にとって、この一連の過程を楽しむ「育てる園芸、育てるガーデニング」が原点で、育てる喜びこそ仕事の原動力となっています。
△ 植え替えられたばかりの苗
△ 植え替えられたばかりの苗。これはカレンデュラ。
△ 植え替えられたばかりの苗。これはトマト。
苗づくりは25年前にスタートしました。
思い起こせば、見よう見まねで作った最初の苗はかなりへなちょこでした。
始めてから3年ぐらいでようやくモノになり、その後、歴代の生産スタッフと試行錯誤を重ね、今のスタイルになったのは15年ほど前。
根底にあったのは、自分が好きな植物、植えたい植物というコンセプト。
その結果、高性の草花や、株が大きすぎて流通しにくい草花、種苗会社の型番落ちとなりタネが入手しづらい品種を含め、多品種少量生産というスタイルを確立したのです。
ちなみに今年は生産数を減らしましたが、春だけで草花218品種、野菜が141品種。
この内訳は、トマト60品種、バジル17品種、マリーゴールド10品種などの品種合計です。
△ 様々な苗を1つのハウスで管理している。
△ 食べるハーブも多品種少量生産。
△ トマトだけでも60品種。さらに仕上がる時期を4回に分けて生産している。
何が大変って、これだけ多品種を育てるのに必要なのは、植物への十分な理解とそのための様々な工夫と対策。
■ コテージガーデンの肝、それは土 ■
苗づくりは土が重要になりますが、使用する土は、私の場合、すべて同じ土=オールマイティ。
この土がコテージガーデンの肝ともいえるのです。
培養土として売られているものにさらに基本の材料を混ぜます。
加える材料は、緩効性の肥料2種とリンサングアノ、馬ふん堆肥、パーライト、ピートモス、そして札幌周辺で広く使われている、火山レキ。
この土の配合に行きついたときから、生産する苗の質がグーンと上がったのを覚えています。
もちろん、植物によって多少配合を変えたり、軽くしたり、水はけをよくしたりという配慮も忘れません。
ちなみに私がつくる花苗は花芽が多く、実つきも多いのが自慢です。
水やりだけで済む苗づくりを目標にしていたため、元肥に緩効性肥料をたっぷり、実つき花つきのため、リンサングアノを入れているからだと思います。
△ コテージガーデンオリジナル培養土。とっても高価。でもこれを落とせない。
■ 繊細な植物の顔色を見ながら ■
コテージガーデンは月形町の施設を指定管理で使用していますが、鉄骨の大きなハウスが4棟、パイプ越冬ハウスが1棟、冬はビニールをかけていない予備のパイプハウスが4棟あります。
そのうち1棟が店舗(ガラスハウス)、1棟が温床のあるハウスで最低気温を8度設定、
2棟が農薬を使わないハウスと使うハウス、パイプ越冬ハウスを順化のハウスにしています。
今年は無理をせずできる範囲の生産をプランしたため、予備ハウスを1棟だけで稼働しています。
△ パイプハウスにビニールをかける。ここは予備ハウスとして使用。その後トマトを植える。
植物はとても敏感です。
ハウスの中でもその植物に最適な場所を見つけ、359品種の苗たちをタイミングよくスペーシングするのがよい苗への道なんです。
△ どんどん大きくなるレタス、その1
△ どんどん大きくなるレタス、その2。
生産の作業は、タネまき、順化、ポッテイング(ポット上げ)、移動、再び順化、スペーシング
移動、さらに順化。
単にタネをまいてポット上げするだけでなく、次の環境への順化とスペーシングの繰り返しが、よい苗への道なのです。
△ スペーシングしてもすぐに大きくなるノラナ。
△ スペーシングを繰り返し、大きくなったノラナにはもう蕾が!
△スペーシング、移動、そして順化中のカレンデュラ
△ スペーシング、移動して順化。さらにスペーシングし、出荷を待つカレンデュラ。
こうして仕上がる苗には一株一株スタッフの思いが入ります。
今年のオープンは4月20日、土曜日。
まだまだ雪が残るここ月形町。
どうか、今年も、苗を手に取る皆さんが笑顔でありますように。
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この記事のライター
1995年月形町で生産直販店「コテージガーデン」を主婦から起業。現在は年間を通し2000品種以上の植物苗を生産し、札幌市百合が原公園ガーデンショップの売店も経営する。ノーザンホースパークK’s Garden、滝野公園、層雲峡温泉、個人庭園などの、企画、設計、工事、管理などを行う。「オープンガーデンof北海道」を発行するブレインズ種まく私たちのメンバー。2009年度北海道「輝く女性のチャレンジ賞」2010年度内閣府「女性のチャレンジ賞」受賞。日本ハンギングバスケット協会公認講師。三男一女の母。