続・きょうの花活け 花と鎌倉とウーロンと、ときどき茶話。/vol.34 新緑主役
vol.34 新緑主役
こんにちは! CHAJINです。
こちらは、かつて月刊フローリストさんで連載させていただいていた
「花と鎌倉とウーロンと。」のエピソード2……とでも言いましょうか。
季節ごとに出逢う日々の花あしらいについて、
花活けを始めたばかりの植物好きなアラフォー女子のMちゃんに
わかり易~く(時に脱線しながら)お話ししてゆくWEB版の花教室みたいなコーナーです。
また、アトリエのある鎌倉界隈のことや愛猫ウーロンについての茶話も綴っております。
諸々緩さ満載ながら、皆さまの日々の花活けに少しでもお役に立てればうれしいです。
それでは今回もよろしくおねがいします~!
花と
CHAJINさん(以下C)「スズランの日っていうのが5月1日にあって、僕、友人のロミユニコンフィチュールさんっていうジャム屋さんのところで(毎年)スズラン屋台をやってるんです(※編集部注:今年は残念ながら中止されたようです。来年に期待!)」
M「はい」
C「その流れでゴールデンウィークは葉山の陶芸家の友だちが、お店とギャラリーみたいなのをご自宅でやってて、そこで花展をここ4~5年やってるんですけど」
M「おぉ~」
C「いつも新緑の時期なので、緑をテーマにしてて。今年はグリーンスポットっていうタイトルで」
M「ほうほう」
C「スズラン屋台もグリーンスポット展も、今年はどうなってるかわかりませんけれど……ということで5月の1回目は、スズランとか、新緑、グリーンとか、そういう花あしらいになります」
M「いいですね。心地よいですよね、グリーンは」
C「ね。なんかちょっと平安というか、心が落ち着く感じの色合いで」
M「はい~」
C「(写真だと)ちょっとわかりづらいんですけど、スズランがセンターくらいにチラホラと入ってて」
M「あぁ、チラチラしてますね~」
C「はい。スズランだけではなくて、端っこに覗いている顔のあるお花は原種のクリスマスローズで」
M「ほぉ~! この右側の……二輪ぐらいの」
C「そうですね。クリスマスローズって早春のころのイメージですけど、原種系が意外と、4月の終わりとかゴールデンウィークに近いぐらいでもちょっと出てたりして」
M「へぇ~!」
C「それがちょっと入っていたり。あとホワホワした白いのは、アスチルベ」
M「あぁ、この真ん中のこう……なんて言うんですかね、ハタキみたいな……スミマセン変な例えで(汗)」
C「ハタキ(笑)」
M「かわいいですよね、アスチルベ」
C「はい~。あとスノーボール」
M「細かいアジサイみたいなヤツですね」
C「あとはグリーンベルとか、この健気なヤツは花うさぎっていう花で」
M「花うさぎ! この細長いヤツですか……?」
C「ちょっと曲がってるヤツね。花うさぎ、名前もかわいいんですよね」
M「ですね~」
C「あとナルコランの葉っぱとかも入ってたり」
M「ナルコランは白い斑(ふ)がきれいです、涼やか」
C「これは確か、去年の5月の花教室のメニューだったと思う」
M「ほぉ」
C「なんとなく5月っていうと新緑、白グリーンみたいなそういう気持ちに素直になるので。花教室も、いろんな装花先もわりとこういう色合いが多めになってくるというか」
M「新緑の鮮やかさっていうのはいいですよね。本当に気持ちがいい」
C「そうですよね~。その季節の代表選手はお花もあるけど、色合いにもありますよね。ちょっと前の季節はヤマブキだったり、ミモザだったり黄色の話もしてたけど、5月ぐらいだと緑とかを自然と欲する感じになってくる」
M「ふんふん。緑も一色じゃなくて、ライトなのや深いもの、ツルッとしてるとか違いがあって、緑だけでもすごく印象的というか」
C「そうですね、確かにそういう濃淡でも存在感が出るから」
M「はい」
C「こちらの作品も花もあるけれど、いくつかの葉っぱ、たとえばアスチルベの葉っぱだったり(右横にちょっと枝垂れてる葉っぱを指して)」
M「アスチルベの葉ってこんな豪快なんですね」
C「ナルコランは葉先に白い斑が入っていたり、スノーボールの葉はちょっと柔らかかったり、スズランは花可憐だけど葉っぱはすごくしっかりしてたり」
M「ふんふん」
C「だから葉っぱにフォーカスしてもね、メリハリというか。僕、昔修業時代に、花屋さんで小売をしたときに、お客様に葉っぱだけでブーケを作って欲しいって言われたことがあって」
M「おぉー、ステキなお客様ですね!」
C「うん。本当はそういう葉っぱだけの花束とか、いいなって思ってたんだけど、自分のお店じゃなかったし、あんまり全面に打ち出してもどうかって思いながら……」
M「ふむふむ」
C「だから、葉っぱっていうものにフォーカスして、葉っぱだけで花束を作って欲しいというお客さんと出会えたとき、すごくうれしかったのを覚えています」
M「おぉ」
C「いまでもその人の顔が、ちょっと思い出せるくらいうれしかった」
M「いいですね~」
C「どうしても花束っていうと、その言葉の中に花の束って書いてあるから」
M「そうですね、お花がメインと思いますよね」
C「ね、でも新緑の時季とかっていろんな表情の葉っぱだけを集めて、それでひとつ作品にしてみるっていうのも全然ありだと思うんですよ」
M「なるほど」
C「花が一輪だけしか入ってなくて、あと全部葉っぱとか。それもすごくステキだと思うから」
M「いいですね!」
C「あと、葉っぱはちょっと持ちがいいので」
M「そうですよね、葉っぱは長持ちしますよね、お花より」
C「だから葉っぱをね主軸にして、ちょっとだけ花を替えて……ってするとsお財布にも優しいかもしれない」
M「なるほどです。あと、葉っぱの中にちょこっと花があると、花自体の形とか存在も、いつもより際立って見える気も……」
C「あぁ~、そっかそっか。いい背景になる、みたいな感じですかね」
M「はい。それも新緑のこの5月ならではの楽しみ方っていう気がします」
C「そうですね~。とかく葉っぱって脇役的に思われそうだけど、やっぱり主役を際立たせるには名脇役が……ドラマにもそういう人が固めてることでそのドラマが成り立つのといっしょで」
M「そうですね」
C「やっぱり葉っぱとか緑とか、そういうことってすごく大事だってことが、改めてこういう時季に再確認できるっていうのはあるかもしれません」
M「はい!」
葉っぱの緑って、本当に多様。
形もいろいろなうえに、ツヤがあったりマットだったり
大きさも違うし付き方も違う。
散歩していて緑が密集した風景を見ると、美しさにホレボレします。
とくに新緑の心地よさってハンパない!
その感動と癒やしを自宅で味わう“新緑主役”の活け方って
実はとっても贅沢なんじゃないかしら~って思う緑好きでした~。(byM)
鎌倉と、
藤の花話
花とのコーナーの収録時(事前収録なのです)は、緊急事態宣言発令前のこと。
このG.W.にかけて自粛が延長になるとは思いもよらずな状況でした。
結局、話題にしていたすずらん屋台も花展もやむなく中止となり、期間中はSTAY HOME!
その間は、来るべき花教室のオンライン化(できるかな?)に備え、
昨今賑わい出したZOOMなど動画関連の研究に勤しんだりしてみましたが、
何せ、機械と方向に関してはかなり音痴な自分にとっては、集中力の持続がむずかしく……。
動画と言っても、つい映画やドラマなどの横道に逸れてばかりおりました。
中でもはまってしまったのは、花教室の生徒さんからおすすめされた“鬼滅の刃”。
のっけから自分の好みとはかけ離れたド・ハードなシーンも出てくるのですが、
思いもよらずはまってしまい、あっという間に観了してしまいました。
主人公(兄妹)以外、物語に登場するのは概ね、鬼なのですが、
自分としては、鬼が嫌がる花として、時折登場した藤の花も印象に残りましたね。
作者の方が、何故、藤を選んだのか?
その方の家の庭には藤棚でもあって、
幼少の頃から、それを見て育った思い出があるのだろうか?とか……。
本道である鬼退治の展開を外れ、勝手にそんな夢想もしたりと~笑。
登場する藤のシーンは、さすがアニメだけあって
現実とはかけ離れた藤の花々が咲き乱れている桃源郷のような風景。
もし自分が鬼だったら(意味不明~)、
すぐにでも見にいきたいなあと考えてしまいましたね笑笑。。
前置きが長くなりましたが、
STAY HOMEの間、人気(ひとけ)のない時間に散歩に出かけた源平池。
池の前にある藤棚はそろそろ終盤に差し掛かる頃で。
たまたま一本の藤の花が垂れておりましたところをパチリ!
鬼滅の刃で登場する藤の花とは真逆ではありますが、
こんな引き算な藤風景もそれもまた良しか~!と思った次第です。。
ときどき茶話、
生剥景品
こちらに描かれた鬼は
鬼滅の刃のキャラクターではありませんが、
数年前に缶ビールのオマケについていた
リリーフランキーさん画によるナマハゲ。
ビールは尿酸値の兼ね合いで主治医から注意される為、
普段からほとんど飲まないのですが、
このコップ欲しさに即買いしたのでした。
それからずいぶんと長い時間が経過しましたが、
実はまだ一度も使ったことがありません。
活けラジ
脱線しまくり!?「花と」のところでおしゃべりしているCHAJINさんと、編集者Mとの花トークラジオ「活けラジ」やってます。「迷わず活けよ、活ければわかるさ!」youtubeで 「vol.13」 配信中 vol.1から聴きたい、という人はこちら
プロフィール
CHAJIN/チャジン
フラワーアーティスト。
ORIGINAL FLOWER STYLE CHAJIN 主宰。
暮らしまわりの雑貨と季節の花を合わせ、個性的でありながらもカジュアルな花あしらい、存在感あるリースの作品が得意技。
雑誌や広告の花活け、店舗や温泉宿のディスプレイ、展示会の花活けの他、
鎌倉のアトリエや、池袋コミュニティカレッジ、NHKカルチャー青山教室、NHKカルチャー横浜ランドマーク教室、二子玉川高島屋S.C教室ほか、都内各所で開催中の花教室も人気。
著書に『きょうの花活け』(誠文堂新光社刊)、『花活けのココロ』(主婦と生活社刊)、
『小さな花あしらいと12ヶ月の花の話』、『季節の花でつくる12ヶ月のリース』(ともに芸文社刊)がある。
紅茶好きでプロレス好きで愛猫家。鎌倉在住。
インスタグラム instagram.com/chajin_eye
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この記事のライター
植物生活編集部
「植物生活」とは花や植物を中心とした情報をお届けするメディアです。 「NOTHING BUT FLOWERS」をコンセプトに専門的な花や植物の育てかた、飾り方、フラワーアート情報、園芸情報、アレンジメント、おすすめ花屋さん情報などを発信します。