jardin nostalgique jardin nostalgique 27ヶ月前

ブーケ 冬のノクターン

こんにちは!jardin nostalgiqueの青江です。

遅ればせながら、あけましておめでとうございます!

2021年も、コラムをご覧いただきどうもありがとうございました。
 

2021年は体感として本当にあっという間で、

どうやら結構大勢の方がそう思っている様子でした。

旅行に行ったり、イベントに参加したりといった

大きな印象に残ることや変化が無い為、

思い出すとあっという間に感じるとの説を信じてしまいます。
 

でも、1年で束ねたお花や、お店の写真を見ていると、

昨年もたくさんの花に出会って束ねたし、

お花を通していろいろな交流があったなーって、

さり気ない毎日のことを拾い上げることができて、

季節季節のお花が、ちゃんといつも通りの1年だったよ、と教えてくれるようでした。
 

昨年はブーケの花図鑑を出版させていただいたことも

とてもありがたいことでした。

8月の出版以降、いろいろなご感想をいただいたり、

本を見て遠方からお店にお越しくださる方もいらしたり、

花図鑑がつないでくれるたくさんのご縁がありました。
 

本はコラムのように更新していけないので、

花図鑑は2021年時点での自分たちの感性や想いの記録として、

時間が経つほどにそこから変化があるかもしれないのですが、

ブーケの中に見る花の美しさはずっと変わらないものだと思うので、

この先も長く楽しんでもらえる図鑑になるといいなーと思います。
 

そんなこんな、新年最初のコラムらしく昨年を振り返ってみましたが、

2022年もきままに綴っていけたらと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 

今年最初のコラムは、昨年末に開催したブーケレッスンのことを。

そのテーマは、「ブーケ 冬のノクターン」。


 

見えないものをテーマにする中で、音楽というのもとても興味があって、

今回、長い冬の夜にピッタリな夜想曲=ノクターンをテーマにしてみました。
 

夜を想う曲、夜に想う曲。。。

ノクターンは暗い夜をテーマにするからこそ、

明るい日中は理性に隠されてしまう直感や感性を自由に解き放って、

規則や形式にとらわれず表現する音楽。

明るい場所では視覚が一番の情報として、他の感覚を弱めてしまう・・・

夜は視覚からの情報が無いからこそ、聴覚やイメージがふくらむという点で、

音楽家は夜に惹かれたのかもしれないですね。
 

ノクターンというテーマは音楽のみではなく、

絵画などの芸術においても表現されていて、

それをブーケでやってみたら!?と思ったのが今回のレッスンのきっかけです。
 

ノクターンという言葉の響きや、代表的なノクターンの曲調、夜がテーマであることなどから、

当初から色彩は深い寒色~明るい目の寒色のグラデーションにしようと思っていたのですが、

ノクターンのことを知れば知るほど、その「直感・自由」という点に興味が出て、

お花選びの際は、当初のイメージプラス、あえて普段選ばないような花材を加えてみたり、

ちょっと冒険的な色彩を加えてみたりして、

花選びの時点から、自分も理性を捨ててみました。

仕入れの時間はまだ暗闇の時間で、夜が感性の背中を押してくれたように思います。
 

お店に帰って仕入れた花を並べてみて、

「あれ、なかなか不思議な色合わせ・・・」と、やや不安になった部分もあったのですが、

そこにあまり理由をつけすぎないように、とも思って、

1本1本のお花をその時の気分で束ねてみたら、

なんとも面白いブーケが出来上がったのでした。

レッスンの際の説明も、ノクターンの定義を理解いただいた後は、

皆様に直感で、教科書に書いてあるような定義を捨てて束ねてもらうようにしました。
 

いつもよりも早く説明少な目でサクッと終わるデモンストレーション、

質問しても答えを教えてくれない先生、

レッスンとして、それで良いのー!!?という他のスタッフの視線を感じつつ、

自分は主に、参加してくださる皆様の間をウロウロしては、

みんなのブーケを眺めてうっとりするという、不思議なレッスンの時間でした。

理性や決まりを捨てるために作為的にいつもと逆のことをやってみたりという、

なんともパラドックス!?な状態になったりすることもありつつ、

そんなことにチャレンジできるのも、このテーマ故かなーと思って、

そんな時間を楽しんでもらいました。
 

面白かった点は、参加した皆様が漏れなく、

ゆったりふわりと、軽く伸びやかなブーケになったこと。

過去に、花を自由に見せるためにいろいろ技術的なレクチャーをしまくって束ねていただくこともあったのですが、その時以上に、花が自由でした。

束ねる人の心が自由だと、花も心模様をとらえて自由になるんだな、と、

みんなのブーケから学ばせていただきました。
 

ブーケの中に、架空のストーリーができている方もいて、

そんな、自分だけのイメージが詰まった作品ができるって、とっても素敵!と思ったのでした。


 

とはいえ、今回のレッスンで難しかったのは、

そんな夜の直感さえわたるテーマのブーケを、

日中の明るい、何事も良く見える店内で作成しなくてはならなかったという点です。

さすがに営業中のお店の電気を消すことはできず、その点では

みんなに「今は夜!」と念じながら束ねていただくようでしたが、

いつか、暗闇にキャンドルの薄明りで束ねるようなノクターンのブーケなんて

出来たら面白いなーって思っています

明るい時に再度みたら、なんだこれはー!!というブーケになっても、

それはそれで面白いのでは。
 

もしもそれでも理性が勝ってしまう場合は、ちょっとお酒の力も借りて。。。

その時はもちろん、先生も飲みたい!


 

ただの飲み会になってしまわないように注意が必要ですが、

そうなってもその場面でちょっとでもお花を楽しめたら、

それもノクターンであって、究極系なのかもなーなんて思ったりします。
 

ノクターンでそんな幻想を広げる一年のはじまりですが、

今年も楽しくレッスンを開催していきたいと思います。

こちらでまたその状況をご報告していければ幸いです!

どうぞよろしくお願いいたします。

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この記事のライター

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ジャルダン ノスタルジック、2012年にオープンした東京・神楽坂にあるフローリストの青江、フローリスト/パティシエの加藤が経営する花店。おもちゃ箱をひっくりかえしたような、懐かしくてわくわくするお店づくりをコンセプトにした店内には、青江・加藤が選んだ季節の花とともに、焼き菓子、ハーブティーや花器、フランスのブロカントなどの雑貨が所狭しと並んでいる。土日の15時からは店内の一角でカフェも営業中。

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