ローラン流 季節の花あそび vol.35 Comme un tableau de Mucha inspiration, Art nouveau | アール・ヌーヴォーのミュシャの絵画をイメージして
人気フランス人フラワーデザイナー、ローラン・ボーニッシュさんによる、旬の花や植物素材を使ったブーケとアレンジメントの提案。
洗練された花合わせ、色使いのアイデアをお伝えします。
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vol.35 Comme un tableau de Mucha inspiration, Art nouveau
アール・ヌーヴォーのミュシャの絵画をイメージして
前回の「vol.34 Bougeoir forestier de sabot de Vénus | 凛とした森をイメージしたランの燭台アレンジメント」に続き、パフィオペディルムが主役の作品です。
白と、白とブラウンが混じった品種をメインに、フランスの祖母から受け継いだ、小花とリボン装飾が施されたアンティークのジャルデェニエール(花器)と合わせたアレンジメントです。
パフィオペディルムの白と、花器のゴールドの色の組み合わせから思いついたのは、古き良き時代のフランスで生まれた芸術様式、アール・ヌーヴォーを代表する画家、アルフォンンス・ミュシャの絵画です。
ブロンドの女性を取り巻くしなやかな曲線模様や植物と、やわらかな配色からインスピレーションを得てデザインしました。
サブの花は、春の繊細な小花を中心に。
グレーがかったブラウンのスイートピーを選び、ここから白とグレーの世界につなげ、フリチラリアやムスカリ、ラケナリアなど、この季節ならでは球根花を色のアクセントに。
アール・ヌーヴォーを意識して、自然な印象にまとめています。
構成は一方見で。
花器にフローラルフォームをセットしたら、最初にベニツゲやミントを低めに配置し、西洋ナズナを少し高めに挿します。これらのグリーンはこのあと挿す小花を固定する役目も持ちます。
スイートピーは全体にまんべんなく配置して、個性的な色の印象を強めましょう。
ラケナリアは繊細で折れやすいため、先に挿したものを触らないように注意しながら作業します。
フリチラリアとムスカリは球根付きのまま入れ、自然な表情を見せます。
シレネ・グリーンベルで動きを出し、パフィオペディルムは最後に、顔の向きをよく見て高低差をつけて挿します。
シックでありながら、春のやわらかく軽やかな植物のイメージを感じるアレンジメントに仕上がりました。
flower&green
パフィオペディルム数種、スイートピー(染め)、ラケナリア2種、シレネ・グリーンベル、クリスマスローズ、ムスカリ(球根)、フリチラリア(球根)、ミント、西洋ナズナ、ベニツゲ
撮影/山家 学 取材/植物生活編集部
ローラン・ボーニッシュさんの世界観を存分に堪能したい!
プロフィール
Laurent Borniche(ローラン・ボーニッシュ)
フラワーデザイナー、Laurent.B Bouquetier 代表。
フランス・パリ郊外、ブーローニュの森に隣接する高級住宅地ヌイイ市の花店の4代目。エコール・デ・フルーリスト・ドゥ・パリ卒業後、パリの老舗花店等で研鑽を積み、母校派遣講師として1998年に来日。2014年、東京・田園調布にデザインアトリエ「Laurent.B Bouquetier( ローラン・べー・ブーケティエ)」を設立。著書に『ローラン・ボーニッシュのブーケレッスン new edition』『ローラン・ボーニッシュのフレンチスタイルの花贈り』『Jeux de fleurs』(以上誠文堂新光社刊)がある。
https://www.laurentb-bouquetier.com/
(c)Kenji Kusakabe
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この記事のライター
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