オリジナル資材とアーティフィシャルフラワーを活用|ベースとなるパネルも見せる壁面装飾
ディスプレイ商材の製造、販売の専門企業として信頼厚い株式会社ポピーが運営する「横浜ディスプレイミュージアム」。
あらゆるアイテムが並ぶ売場面積約1000坪を誇る広々とした店内にて、人気フラワーアーティストが装飾を提案する企画の第2弾。
今回の装花を担当したのは、フローリスト誌連載で もおなじみ「logi plants & flowers」の宇田陽子さん。
作品の「大きなテーマは“秋雨”(オータム・レイン)。フローリスト掲載号に合わせて秋の花で作ってください、ということでしたので」とのことだが、発想の源となったのは「横浜ディスプレイミュージアム」を訪れた際に見かけた、1階に展示されていたグリーンウォールディスプレイだったそうだ。

それは「ロックプランツパネル」という ロック式植栽システムを採用した新発想の アイテムを使ったディスプレイで、パネルはアーティフィシャルフラワーやグリーンをジョイントパーツに花器に生けるように挿すことができる優れもの。

「本当は壁面緑化を作るためのものですが、私はただの アイテムには見えなくて。お店で見かけた時、本来の用途だけで使いたくないくらいかっこいい素材を見つけた!と思ったんです」と宇田さん。

そのパネルに独自のペイントを施し、アンスリウムとコチョウラン、そして夏から秋にかけて旬を迎えるグラジオラスを、秋空に踊る雨に見立ててあしらった。
「普段のアレンジメントもですが、 セオリー通りにしたくないというか...... そのまま使うより、このアイテム自体に魅力 があったので、それを違う形のデザインに 落とし込みたいなと。だから作品の本当のテーマとしては多面性や可能性とか、表現の自由というのもあります」。
そんな言葉 がビジュアルから伝わるような、アーティスティックで軽やかなウォールディスプレイに仕上がった。

日頃、オーダーの花束やアレンジメント だけでなく、大小さまざまな空間装飾も多く手がける宇田さんだが「平面ってやっぱ りすごく難しい」という。
「だから今回使ったこのアイテムがあったら、もっと立体的に作れるなっていうのが発見になりました。 これまでだとチキンネットを使ったりしていたのですが、そうするとチキンネットを見えないようにしないといけなくて、モ リっとした塊としてのオブジェしか作りづらかったのが、これだと空間を活かせるなと思って。このアイテム自体がデザインでもありますし」
宇田さんはここ「横浜ディスプレイミュー ジアム」を利用し始めて約15年。
自店舗とは別に自身のアートワークとして「PAVILION!」(パビリオン)というブランドを立ち上げた10年ほど前に、その作品に使用する質の高いプリザーブドフラワーを求めて「めちゃめちゃ来ていました」 とか。
それ以来よく訪れるようになった。 特にお気に入りのポイントを尋ねると「アイテム数が圧倒的に多いのと、こちらのオリ ジナル商品もあって、ほかのメーカーさんのも揃っているところですね。器とかスプ レーも買います」とのこと。
長年通い慣れた場所でありながら、今回のように思いがけずインスピレーションを刺激する新しい出合いがあることも。
広々とした空間にさまざまなディスプレイの提案があることで、モノだけでない価値に気づくことができるのも、同店の強みのひとつかもしれない。
2 階にあるアーティフィシャル売り場は、まさに宇田さんの「広いフロアで探しやすくて、見つけやすい。 アイテム数も圧倒的です」という感想通りの空間。シーズン、リーフ、色別、ローズ、ブーケなどわかりやすく区分けされている。ウェブ上のバーチャル店舗でも現地さながらの観覧体験ができておもしろい。
https://www.displaymuseum.co.jp/vfloor/

仕上げに取り組む宇田さん。2009年に「logi plants & flowers」をオープンし、花そのものの強さと、時にはその毒々しさもストレートに表現するクリエイターとして空間ディスプレイ、広告撮影、CMなどの装花を幅広く手がけている。
使用した花材はシンプルに3 種。
どれも宇田さんが生花でもアーティフィシャルでも大好きな花だそうだ。
そこに流れと動きを加えるべく、ヤナギのアーティフィシャルをアクセントにプラスした。
どの花も大振りでインパクトがあり、クオリティも高いので大胆に使っても決して生花に見劣りしない。
アーティフィシャルを使うのは生花が使いづらい環境・条件であることが多いが、それ以外に 茎の自由度も大きなメリットだと宇田さんは語る。
「生花でも矯めることで茎は曲げられますが、ここまで自由自在に曲げられるのはアーティフィシャルならでは。こういうことができることを知ってから、空間演出の幅が広がりました」

グラジオラス

フレッシュアンスリューム

コチョウラン

フレキシブルロングブランチ L



今回のキーアイテムとなった「ロックプランツパネル」は同社のオリジナル商品。
材質はアルミ複合版、ABS樹脂で、正方形や長方形、一列分サイズなどいくつかの展開がある(使用したのは写真の805×805mmと575× 575mm)。
右の写真のように穴に挿してひねるだけで取りつけられるグリーンも販売されている。
花材を挿すパーツは別売りもされているので、パネルに追加したり、「これだけを壁につけて、そこから花を出すということもできそう」と宇田さん。

TEL:045-441-3933
(営業時間:平日 10 : 0 0 ~ 17 : 3 0 )
https://www.displaymuseum.co.jp/
関連する記事
>> あらゆるディスプレイアイテムが揃う場所で選び、作る| “染めの花”テーマの空間装飾
>> 前田有紀『染めの花』横浜ディスプレイミュージアムの空間装飾|オルタナティブストーリー
話をうかがった人
宇田陽子 Yoko Uda
2009年に「logi plants & flowers」をオープンし、花そのものの強さと 、時にはその毒々し さもストレートに表現するクリエイターとして空間ディスプレイ、広告撮影、CMなどの装花を幅広く手がけている。
photo:Tomoyuki Sasaki text:Masako Tagawa
あらゆるアイテムが並ぶ売場面積約1000坪を誇る広々とした店内にて、人気フラワーアーティストが装飾を提案する企画の第2弾。
今回の装花を担当したのは、フローリスト誌連載で もおなじみ「logi plants & flowers」の宇田陽子さん。
モノだけではない 新たなアイデアとの出合いの場
作品の「大きなテーマは“秋雨”(オータム・レイン)。フローリスト掲載号に合わせて秋の花で作ってください、ということでしたので」とのことだが、発想の源となったのは「横浜ディスプレイミュージアム」を訪れた際に見かけた、1階に展示されていたグリーンウォールディスプレイだったそうだ。
それは「ロックプランツパネル」という ロック式植栽システムを採用した新発想の アイテムを使ったディスプレイで、パネルはアーティフィシャルフラワーやグリーンをジョイントパーツに花器に生けるように挿すことができる優れもの。
「本当は壁面緑化を作るためのものですが、私はただの アイテムには見えなくて。お店で見かけた時、本来の用途だけで使いたくないくらいかっこいい素材を見つけた!と思ったんです」と宇田さん。
そのパネルに独自のペイントを施し、アンスリウムとコチョウラン、そして夏から秋にかけて旬を迎えるグラジオラスを、秋空に踊る雨に見立ててあしらった。
「普段のアレンジメントもですが、 セオリー通りにしたくないというか...... そのまま使うより、このアイテム自体に魅力 があったので、それを違う形のデザインに 落とし込みたいなと。だから作品の本当のテーマとしては多面性や可能性とか、表現の自由というのもあります」。
そんな言葉 がビジュアルから伝わるような、アーティスティックで軽やかなウォールディスプレイに仕上がった。
日頃、オーダーの花束やアレンジメント だけでなく、大小さまざまな空間装飾も多く手がける宇田さんだが「平面ってやっぱ りすごく難しい」という。
「だから今回使ったこのアイテムがあったら、もっと立体的に作れるなっていうのが発見になりました。 これまでだとチキンネットを使ったりしていたのですが、そうするとチキンネットを見えないようにしないといけなくて、モ リっとした塊としてのオブジェしか作りづらかったのが、これだと空間を活かせるなと思って。このアイテム自体がデザインでもありますし」
宇田さんはここ「横浜ディスプレイミュー ジアム」を利用し始めて約15年。
自店舗とは別に自身のアートワークとして「PAVILION!」(パビリオン)というブランドを立ち上げた10年ほど前に、その作品に使用する質の高いプリザーブドフラワーを求めて「めちゃめちゃ来ていました」 とか。
それ以来よく訪れるようになった。 特にお気に入りのポイントを尋ねると「アイテム数が圧倒的に多いのと、こちらのオリ ジナル商品もあって、ほかのメーカーさんのも揃っているところですね。器とかスプ レーも買います」とのこと。
長年通い慣れた場所でありながら、今回のように思いがけずインスピレーションを刺激する新しい出合いがあることも。
広々とした空間にさまざまなディスプレイの提案があることで、モノだけでない価値に気づくことができるのも、同店の強みのひとつかもしれない。
2 階にあるアーティフィシャル売り場は、まさに宇田さんの「広いフロアで探しやすくて、見つけやすい。 アイテム数も圧倒的です」という感想通りの空間。シーズン、リーフ、色別、ローズ、ブーケなどわかりやすく区分けされている。ウェブ上のバーチャル店舗でも現地さながらの観覧体験ができておもしろい。
https://www.displaymuseum.co.jp/vfloor/
仕上げに取り組む宇田さん。2009年に「logi plants & flowers」をオープンし、花そのものの強さと、時にはその毒々しさもストレートに表現するクリエイターとして空間ディスプレイ、広告撮影、CMなどの装花を幅広く手がけている。
1階グリーン売り場には、さまざまなアーティフィシャルグリーンのほか、マットやハンギング、ガーランドにリースなどあらゆるタイプの グリーン素材が揃う。
壁面緑化に関するコーナーや鉢物も充実。商品のクオリティも高く、植物をつぶさに観察し、より本物らしくと細部までこだわって作られたオリジナルグリーンにも目を見張る。
今回、宇田さんが作品のベースに使用した「ロックプランツパネル」もこの売り場に。
作品のバリエーションとして、ロックプ ランツパネルを全面に見せたディスプレイも制作。
シンビジウムとアンスリウムはスプレーで赤く染めている。
左の作品、中央に位置するアンスリウムも複数の色を使って着色。
宇田さんの着色テクニックが存分に発揮されている。
ディスプレイに使ったピックアップ素材
使用した花材はシンプルに3 種。
どれも宇田さんが生花でもアーティフィシャルでも大好きな花だそうだ。
そこに流れと動きを加えるべく、ヤナギのアーティフィシャルをアクセントにプラスした。
どの花も大振りでインパクトがあり、クオリティも高いので大胆に使っても決して生花に見劣りしない。
アーティフィシャルを使うのは生花が使いづらい環境・条件であることが多いが、それ以外に 茎の自由度も大きなメリットだと宇田さんは語る。
「生花でも矯めることで茎は曲げられますが、ここまで自由自在に曲げられるのはアーティフィシャルならでは。こういうことができることを知ってから、空間演出の幅が広がりました」
アーティフィシャルフラワー(横浜ディスプレイミュージアム)
グラジオラス
フレッシュアンスリューム
コチョウラン
フレキシブルロングブランチ L
オリジナル資材
今回のキーアイテムとなった「ロックプランツパネル」は同社のオリジナル商品。
材質はアルミ複合版、ABS樹脂で、正方形や長方形、一列分サイズなどいくつかの展開がある(使用したのは写真の805×805mmと575× 575mm)。
右の写真のように穴に挿してひねるだけで取りつけられるグリーンも販売されている。
花材を挿すパーツは別売りもされているので、パネルに追加したり、「これだけを壁につけて、そこから花を出すということもできそう」と宇田さん。
詳しいお問い合わせは
横浜ディスプレイミュージアム
お問い合わせはウェブサイトまたは 電話にて承っております。TEL:045-441-3933
(営業時間:平日 10 : 0 0 ~ 17 : 3 0 )
https://www.displaymuseum.co.jp/
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>> 前田有紀『染めの花』横浜ディスプレイミュージアムの空間装飾|オルタナティブストーリー
話をうかがった人
宇田陽子 Yoko Uda
2009年に「logi plants & flowers」をオープンし、花そのものの強さと 、時にはその毒々し さもストレートに表現するクリエイターとして空間ディスプレイ、広告撮影、CMなどの装花を幅広く手がけている。
photo:Tomoyuki Sasaki text:Masako Tagawa
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この記事のライター
植物生活編集部
「植物生活」とは花や植物を中心とした情報をお届けするメディアです。 「NOTHING BUT FLOWERS」をコンセプトに専門的な花や植物の育てかた、飾り方、フラワーアート情報、園芸情報、アレンジメント、おすすめ花屋さん情報などを発信します。