ローラン流 季節の花あそび vol.39 Bouquet d'odeur sucrée de pivoines|シャクヤクの甘い香りを束ねて
人気フランス人フラワーデザイナー、ローラン・ボーニッシュさんによる、旬の花や植物素材を使ったブーケとアレンジメントの提案。
洗練された花合わせ、色使いのアイデアをお伝えします。
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vol.39 Bouquet d'odeur sucrée de pivoines
シャクヤクの甘い香りを束ねて
フランスでは5~6月に出回るシャクヤクは、甘い香りとピンクの花色、豪華な花姿で母の日に贈る花として人気です。
日本の私のアトリエでは、毎年6月のレッスンで大人気の花。
シーズンになると、3週間で約2000本のシャクヤクを仕入れます。
つぼみがかたく、そのままでは咲かない場合もあるため、ある程度まで膨らませたり、レッスンの日に合わせて咲き方を調整したり。
さまざまな品種をさまざまなタイミングで仕入れるために、レッスン期間、アトリエはシャクヤクで溢れ、甘い香りに満ちます。
今回は、そんなシャクヤクを贅沢に使用したブーケです。
シャクヤクの姿をしっかり見せるため、サブ花材はシャクヤクとは異なる形状の小花と枝物に限定。
シャクヤクと同じ季節に花をつけるリョウブや、ヒメミズキ、ウツギを合わせてシンプルにまとめました。
茎も花も重いシャクヤクは、開花したもののみで束ねようとすると形が作りにくく、安定しません。そのため、つぼみも混ぜて高低差と凹凸をつけ、バランスをとります。
枝物を間に入れて固定しながら、スパイラルで束ねていきます。
特にリョウブは、シャクヤクの大きな花がすっぽりとおさまる形をしているため、季節感の演出だけでなく、留めの花材としても重宝します。
アジサイは動きを出し、リズムをつけるための花材。
花がシャクヤクのみだと溶け合ってしまい、逆に各花が引き立たなくなるため、奥に沈めるように入れて立体感を出します。
ふんわりとした甘い綿菓子のようなイメージのシャクヤク。
限られた季節にしか楽しめない贅沢なブーケです。
flower&green
花材/シャクヤク(アルベルトクラウス、ガーデナー、ほか)、アジサイ、アストランチア、リョウブ、ヒメミズキ、バイカウツギ、ゼラニウム
撮影/山家 学 取材/植物生活編集部
ローラン・ボーニッシュさんの世界観を存分に堪能したい!
プロフィール
Laurent Borniche(ローラン・ボーニッシュ)
フラワーデザイナー、Laurent.B Bouquetier 代表。
フランス・パリ郊外、ブーローニュの森に隣接する高級住宅地ヌイイ市の花店の4代目。エコール・デ・フルーリスト・ドゥ・パリ卒業後、パリの老舗花店等で研鑽を積み、母校派遣講師として1998年に来日。2014年、東京・田園調布にデザインアトリエ「Laurent.B Bouquetier( ローラン・べー・ブーケティエ)」を設立。著書に『ローラン・ボーニッシュのブーケレッスン new edition』『ローラン・ボーニッシュのフレンチスタイルの花贈り』『Jeux de fleurs』(以上誠文堂新光社刊)がある。
https://www.laurentb-bouquetier.com/
(c)Kenji Kusakabe
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この記事のライター
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