ローラン流 季節の花あそび vol.41 L’automne arrive |秋の訪れ
人気フランス人フラワーデザイナー、ローラン・ボーニッシュさんによる、旬の花や植物素材を使ったブーケとアレンジメントの提案。
洗練された花合わせ、色使いのアイデアをお伝えします。
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vol.41 L’automne arrive
秋の訪れ
カシワの葉に似た形の大きな葉と、円錐形に咲くボリュームのある花が特徴的なカシワバアジサイ。
以前、知人の家のガーデンに咲くこのカシワバアジサイで制作した作品をご紹介しました。
>> vol.16 部屋の中に森を アジサイのデコレーション
今年も、このアジサイをぜいたくに使用して、アトリエを彩りました。
知人から「2階に届く高さに成長したカシワバアジサイが、美しく花を咲かせている」と連絡を受け、自ら摘みに出かけることに。
そうして収穫し、大量にアトリエに運び込んだカシワバアジサイですが、すべてを生けられる大きさの器がありません。
そこでひらめいたのが、アトリエにある日本の古い薬棚でした。
空にした棚の中に吸水させたフローラルフォームをセットし、開いた扉から溢れ出るようにアレンジすれば、室内にガーデンの雰囲気が取り込めると考えました。
まだ新鮮で色鮮やか、花の大きなカシワバアジサイに合わせるサブ花材を探すのは難しく、そのインパクトに合わせて色と形状が似ているブドウをセレクト。
ピンク色へと変りかけている花の色と同じで、秋のはじまりを思わせるような赤みがかったパープルが魅力的です。
同じ色つながりで、みずみずしさと動きを出すアクセントの花材としてクレマチスをチョイス。花留めとしてイタドリを選びました。
片側だけに高さを出し、下に向かって溢れ出すような流れを作るため、フローラルフォームはL字形にセット。
これでアレンジメントの形を決めます。
イタドリを縦にはめ込んで、花留めに。花留めがないとカシワバアジサイの花が固定できずに、だらんと垂れ下がってしまいます。
イタドリは色や質感、形が美しく雰囲気のある花材なので、見せるための花留めとして利用しています。
カシワバアジサイは、花と葉を分けて使用。
バランスを見ながら奥から手前へと、自然に咲いているアジサイの様子を表現するように挿していきます。
間に、ブドウとクレマチスをアレンジ。
カシワバアジサイと形は似ているけれど、艶のあるブドウは質感が異なるため、ほどよいコントラストを見せてくれます。
棚の下に置いたバスケットの中にもフローラルフォームをセットし、カシワバアジサイをアレンジしました。
こうすると棚の脚が目立つことなく、また棚から床までの間の空間が埋まり、床や壁との一体感が生まれます。
棚の上に飾っているのは、ドライになった昨年のカシワバアジサイです。
今年も生花で楽しんだあとはすべてドライにして、また異なる印象の作品を作る予定です。
flower&green
花材/カシワバアジサイ、クレマチス、マウンテンミント、イタドリ、リョーブ、ブドウ
撮影/山家 学 取材/植物生活編集部
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作品集『Jeux de fleurs』も、ご覧ください。
プロフィール
Laurent Borniche(ローラン・ボーニッシュ)
フラワーデザイナー、Laurent.B Bouquetier 代表。
フランス・パリ郊外、ブーローニュの森に隣接する高級住宅地ヌイイ市の花店の4代目。エコール・デ・フルーリスト・ドゥ・パリ卒業後、パリの老舗花店等で研鑽を積み、母校派遣講師として1998年に来日。2014年、東京・田園調布にデザインアトリエ「Laurent.B Bouquetier( ローラン・べー・ブーケティエ)」を設立。著書に『ローラン・ボーニッシュのブーケレッスン new edition』『ローラン・ボーニッシュのフレンチスタイルの花贈り』『Jeux de fleurs』(以上誠文堂新光社刊)がある。
https://www.laurentb-bouquetier.com/
(c)Kenji Kusakabe
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この記事のライター
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