jardin nostalgique jardin nostalgique 14ヶ月前

寒い日、おしくらまんじゅう

こんにちは!jardin nostalgiqueの青江です。

1月ももう折り返しを過ぎてしまいましたが、

2023年のコラムの執筆は今回が初、ということで、

遅ればせながら本年も、どうぞよろしくお願いいたします。
 

自分はというと、3年ぶりに帰省した徳島の実家で風邪をひき、

せっかくの長めの休暇も療養に終始するという新年の幕開けでした。

体の気怠さもなかなか抜けず、時に心穏やかでなくなってしまって

「またお店に戻れるかなー・・・」なんて、弱気になってしまった時もあったのですが、

気怠さの回復よりも前にお店に出てみたら、

一日の疲れで深い眠りにつくことができたり、

みんなで話してたくさん笑って、リラックスできる時間が持てたりと、

療養中ではなかなかできないことが自ずとできるようになって、

一週間もしたら体調も今まで通りになってきました。


 

そういえば昔から、時間ができて暇ができると

自分のコンディションを必要以上に考えて不安を持つ癖があるのでした。

何かに集中して忙しくしていることは心の安定にとても大切のようで、

お店が出来るまで&できてからのこの十数年間は、

毎日の仕事に頭がいっぱいで、その癖のこともすっかり忘れていました。

そんなこんな、改めて仕事のおかげで

心も体も生かされているなあーと思うことができた経験でした。

忙しいー!!休めないー!!なんて言っている生活が自分の最善のリズム、

そこに散りばめられた笑いは自分の最善の薬です。
 

というわけで、長い前置きになりましたが、

今年も一生懸命毎日の営業をがんばっていきたいと思いますので、

どうぞ引き続きよろしくお願いいたします。


 

お花と関係のない話題が長くなってしまってすいません。

今日のコラムでは、新年最初のレッスンで束ねたブーケをご紹介します。

テーマは「ほんのり春色 蕾と芽生えの春待ちブーケ」。
 

1月は年末同様まだまだ冬真っただ中。強烈な寒さが続きます。

本来は冬のブーケを束ねても似合うはずなのですが、

不思議なもので年が明けた瞬間に、気持ちは春へと向かっていて何かしっくり来ない。

どこか、冬のブーケは年末まで!と決めている自分がおります。


 

その気持ちの変化にお花の流通はしっかり呼応してくれて、

市場にはもうたくさんの春のお花が溢れているものだから、

ふわふわカラフルな春のブーケを束ねては、うっかり「もう春なので」とか言ったりして、

巷は冬真っただ中で、まだまだ自然の風景は春には遠いことをすっかり忘れてしまうのでした。


 

そんな自分が今年は奇跡的に、

冬の中での春の気配のようなものへの趣に気付き、

年が明けたら一気に春!ではなく、その前段階としての

「ほんのり春色」な「春待ちブーケ」として、

冬だからこその春を待ちわびる花や、人の気持ちをブーケに託し、

表現することにしてみました。
 

というわけで選んだお花は、

まだまだひらひら・ふわふわ、のびのび・カラフルになる前の蕾たち。

チューリップも、アネモネもフリージアもラナンキュラスも、

ほんのり色が見えるくらいの、固めのつぼみを選んでみました。

球根植物だけではなく、冬ならではの木々の息吹きも取り入れるため、

固い蕾を持ったヒメミズキやふかふかの花を付けたネコヤナギなども合わせてみました。
 

寒さの中では、人もお花もキュッと固く緊張してしまいます。

そんな1月の冷たい空気の中の緊張感の表現として、

あえてお花の動きを閉じ込めるようにキュッと、コンパクトに束ねてみました。

寒い時におしくらまんじゅうしたように、

お花達もブーケの中でおしくらまんじゅうしているように。

というのが、ふざけているようで本気のイメージです。

きっと、キュッとみんなで集まった方がお花達もあったかいはず!
 

というわけで、束ねた直後はやや緊張した表情でなのですが、

束ねる時の手のぬくもり、外よりも暖かいお部屋の暖かさを感じた時に

お花達が「春が来たー!」と思ってふわーっと伸びたり咲いたりして、

日々、動きや色彩が加わって、数日後の方が華やかになってくるようなブーケです。

お花達の春を喜ぶ声を聞きながら、日々の変化を楽しめるブーケになりました。


今年最初のブーケは、冬にごく近い春の表現として、

壮大ではないものの、

この時期ならではの風景を表現した、ある種のシャンペトルブーケでもあったように思います。

シャンペトルブーケの説明としては、「壮大で大きなもの」と思っていたのですが、

季節によっては小さな自然の変化を表現する、コンパクトなサイズ感のものもあって良いのかなと、勝手に解釈しています。
 

今回のレッスンの収穫としては、

動画レッスンの説明の際に、人生ではじめて「おしくらまんじゅう」と文字に起こしたことと、

「おしくらまんじゅう」の「おしくら」は漢字で「押し競」と書いて、

「押し競べ」という意味だったということを知れたことでした。

そんな「おしくら」の謎が解けた瞬間に、

今度はなんで「まんじゅう」なの!?という疑問も生まれて、

とことん「おしくらまんじゅう」に時間を割くことになるのでした。
 

みなさん、まだまだ寒い毎日が続きますが、

寒い日はぜひ、「おしくらまんじゅう」!!

いかがでしょうかー!!?



(おまけ)
↓こちらは束ねて5日後、春が来たー!!ってお花が伸びて、咲いて、
ふわり華やかになったブーケ。

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この記事のライター

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ジャルダン ノスタルジック、2012年にオープンした東京・神楽坂にあるフローリストの青江、フローリスト/パティシエの加藤が経営する花店。おもちゃ箱をひっくりかえしたような、懐かしくてわくわくするお店づくりをコンセプトにした店内には、青江・加藤が選んだ季節の花とともに、焼き菓子、ハーブティーや花器、フランスのブロカントなどの雑貨が所狭しと並んでいる。土日の15時からは店内の一角でカフェも営業中。

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