これが本当の「スワッグ」の歴史 [02]
フェスツーン、ガーランド、スワッグ
十七世紀にフランス・イタリアからフェスツーンが伝わり、
ガーランド(中世イギリスで生まれた古い英語)よりも祝祭的なニュアンスを持って定着しました。
スワッグも外来語でスカンジナビア半島から十六世紀に伝わり「揺れるもの」「垂れるもの」を意味しましたが、
十八世紀末から教会の祭壇や柱、家の壁や暖炉を飾るフェスツーンをさす言葉にもなりました。
その理由は語源から想像すると…
綱に花をくくりつけ壁に掛けた場合、両端を固定しても中心は重みで垂れて揺れます。
「垂れて揺れる」ここからスワッグと呼ばれたのではないでしょうか。
十九世紀には豪華なガーランドすなわちフェスツーンを意味したスワッグは、
二十世紀のフローリストたちによって、
フレームを使っての巨大な花のインテリアデコレーションに発展しました。
フラワースクールで習ったスワッグ
花が大量に消費された時代、スワッグには生の花が当たり前で、
モス(水苔)や吸水性スポンジは必需品でした。
コンスタンス・スプライ・フラワースクールのハロルド・ピアシーは、このように言います。
「スワッグはしばしばガーランドと同一視されてきたが今は全く違う。
ガーランドはワイヤーや紐をベースに作られるが、スワッグにはフレームベースが要る。」
実際、筆者もそのスクールでクリスマスの暖炉を飾るスワッグを実習しました。
ネットワイヤーでフレームを作り、中に湿らせたモスを詰め込みます。
裏側は水が漏れないようにビニールで、表側はモスが飛び出さないように紙で覆いました。
その上から個々にワイヤーリングした何百という葉や実を挿して作っていくのです。
これを取り付けるのは重労働でした。
同じ頃、ジェーン・パッカーはネットワイヤーで作ったモスフレームに
常緑の枝と果実を挿したクリスマス用のフルーツ・スワッグを発表しています。
長さ一メートル五十センチ、幅十八センチの分厚い花綱です。
モスをくるんだネットワイヤーをフレームに使うのはどんな形にも順応するからですが、
その手間のかかりようは非効率的ともいえます。
近頃ではこのような生の花のスワッグは特別注文でしか作られません。
それに対して、耐久性と価格で好評なのがドライフラワーのスワッグと、
クリスマスの常緑樹のスワッグです。
形態はラフィアや枝などの自然素材、あるいはワイヤーなどのフレームを使うタイプもありますが、
いま人気があるのはvol.1で紹介した束ねただけのスワッグですね。
text & photo 月刊フローリスト
書いた人
名前:伊達けい子 Keiko Date
プロフィール:津田塾大学大学院卒業後、ロンドンのコンスタンス・スプライ・フラワースクール卒業。テクノ・ホルティ園芸専門学校講師。
>>これが本当の「スワッグ」の歴史 vol.1
>>これが本当の「スワッグ」の歴史 [03]
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この記事のライター
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