今秋は、深く広く菊花壇をたしなむ[東京]
キクの季節到来
この前、商店街を歩いていたら、パァァァァァッ!! っと明るくとりどりの色彩が
目に飛び込んできました。
思わず近づいてみると、それはお花屋さんの店先で、
色彩を放っていたのは、季節の花たち。
それも入荷されたばかりの、たくさんのポットマムでした。
花色に加え、一重咲き、八重咲き、丁子咲き、風車咲き、ポンポン咲き…
さまざまな花形が、
いっそう彩りをにぎやかに見せてくれているのでした。
鉢もので出回るこれらのキクは、
ポットマム、もしくはクッションマムと呼ばれます。
お花屋さんの店内に一歩入れば、切り花のキクも勢ぞろい。
こちらは丈が長く、
たくさんに枝分かれした先に
たわわに花をつける、スプレーマムです。
△ 色とりどりのポットマムがにぎにぎしく。
△ 素晴らしい花つきで、こんもりと形よくまとまっているのは、ベルギーで育種された品種。
古典菊の世界へ
身近に見られるポットマムなどに対し、その栽培に、特別な技術を要することから、
植物園や愛好家によって栽培されているキクもあります。
それが古典菊。
どちらも起源は、中国に自生するキクの雑種をもとに、
すでに5〜6世紀には園芸的に改良されていた
栽培ギクから発展してきた園芸品種ですが、
改良された国や時代によって
大きく違っていった変容を比べるのもまた、楽しみのひとつです。
△ 伊勢菊(手前)。伊勢地方で発展した、古典菊のひとつ。縮れた花弁が垂れさがる、独特の花容。
△ 懸崖菊。キクの伝統的な仕立て方のひとつで、鉢から流れ出るような株姿につくられます。
今や、キクの盛りの季節。
合わせて古典菊の観賞会が各地で開催されるので、
日本の園芸人がたいせつに育み、伝えてきたこの伝統に
触れることができる機会です。
たとえば、皇室ゆかりである、新宿御苑の「菊花壇展」。
解説を聞きながら庭園を回り、
さらに、日本へ渡来した栽培ギクについて、全般的に学べる講座を紹介します。
新宿御苑菊花壇展 観菊会2017
日時 2017年11/11(土)10:00 〜 13:00
会場 新宿御苑インフォメーションセンター2階 レクチャールーム [地図]
講師 小笠原左衛門尉亮軒さん(江戸園芸研究家・雑花園文庫庫主)
参加費 3,000円(イヤホンガイド使用料、教材費。新宿御苑入園料 大人200円は各自別途ご負担ください)
定員 60名(先着順)
主催・問い合せ・申し込み先 公益社団法人 園芸文化協会
〒113-0033 東京都文京区本郷 1-20-7 安藤ビル 202 号室
TEL 03-5803-6340 (受付時間 平日 10:00 〜 17:00) FAX 03-5803-6341
メール enbun@soleil.ocn.ne.jp
小笠原左衛門尉亮軒さん プロフィール
おがさわら・さえもんのじょうりょうけん 1933年愛知県生まれ。江戸時代の園芸資料の蒐集・研究をライフワークとして続けている。
△ 新宿御苑の大菊の大作り花壇を観賞。大作りは、たった1株から数百の花を咲かせるように仕上げるまさに職人の技。
△ 新宿御苑 菊花壇展中の園内には、さまざまなスタイルの菊花壇が展示されます。
text & photo ウチダトモコ
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この記事のライター
植物生活編集部
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