ウェディングストーリーズ〈vol.3〉まるで鏡のように、ウェディングブーケは花嫁の心を映し出す/beek flowers
ウェディングストーリーズ vol.3
新郎新婦の思いをカタチにした“世界にたったひとつ”のウェディングブーケ。それを束ねるフローリストは、どんな思いでブーケをデザインしているのでしょうか。インスピレーションの源やこだわりを取材しました。行きつけのカフェや美容室みたいに、誰かのお気に入りのお花屋さんになれたらいい。
「beek flowers」という小さなアトリエは、酒井さんのそんな思いから生まれました。
大切にしているのは、お客さんひとりひとりと丁寧に向き合う時間。
特に、花嫁さんと打ち合わせをするときは、どんな結婚式を目指しているのか、胸の内をじっくり聞いていくのだそう。
その溢れる思いを受け止めてこそ、唯一無二のウェディングブーケが完成するのです。

花と向き合うように、花嫁さんと向き合う
「この時代に、形に残らないお花を買ってくれるって凄いことだから、絶対に出した金額以上に満足してもらわないといけない。」
昔働いていたお花屋さんで、初めてブーケを作らせてもらった日に、店長さんから言われたこの言葉を酒井さんはずっと守り続けています。
とりわけ、ウェディングブーケをデザインするときは、360度どこから見ても美しく、花嫁さんの人柄にマッチするデザインになるように心がけています。
2017年に独立し、ときを同じくしてご結婚されたという酒井さん。
「結婚式前の花嫁さんがどんな気持ちでいるか、身をもって知ることができました。
だからこそ、ひとりひとりと丁寧に向き合って不安を取り除き、希望はできるだけ叶えてあげたいと思っています。」
あるときはチャレンジともいうべき、こんな依頼を引き受けたことも。
それは、花嫁のお母さんが大好きな「クチナシ」の花を使ってウェディングブーケを作りたいというオーダーを受けたときのこと。
クチナシは切り花としての入荷が少なく、扱いが非常に難しい花のひとつです。
その花嫁さんは、式場や他のフローリストさんに断られ、とてもがっかりしている様子でした。
リスクは避けたい…だけど希望を叶えてあげたい…。
酒井さんは、万が一に備えて代替案となるブーケを提案しつつ、式直前までクチナシの入荷を信じて待つことにしたのです。
どうにか仕入れが間に合い、花嫁さんの輝くような笑顔を目の当たりにしたとき、酒井さんの胸もまた震えました。
花がひとつひとつ違うように、花嫁さんもひとりひとり違うもの。
ウェディングブーケは、その心を映し出す鏡です。
だからこそ、花と向き合うくらい真剣に、花嫁さんとも向き合いたい。
そんな思いを胸に酒井さんは、相手の心に寄り添いながら、オンリーワンのブーケを生み出し続けています。
オシャレなデザインの秘訣は“凹凸感”と“色合わせ”
さて、ここからは酒井さんが実際にデザインしたウェディングブーケの数々をご紹介します。
こちらは、エルメスのブランドを象徴するオレンジ色が大好きだという花嫁さんにデザインしたブーケ。
チューリップをメインに、ダークカラーのチョコレートコスモスをアクセントに添えました。ユーカリの葉を加えることで、シャビーシックにまとめています。
酒井さんが最近気になっているのは、赤や黄色などのパキッとしたカラー。
赤いバラや、ひまわりの黄色に、垂れ下がる姿が魅力のアマランサス(ケイトウ)をあわせて、ロングブーケ風の優美なテイストに仕上げました。
一般的にウェディングで使われないような花材でも、思い描くイメージにハマるものは、積極的に採用しているんだそう。
こんな風に、蘭とカーネーションを組み合わせれば、女性らしさとハンサムな魅力を併せ持つ個性派ブーケの誕生です!
きなり色のコットンドレスにマッチするのは、例えばこんなドライブーケ。
生花だけでなく、ドライ、プリザーブド、アーティフィシャルなど、花嫁さんの要望に応じて、どんな花材にも対応しています。
クラシックな洋館にも、ドライフラワーのブーケがベストマッチ!
ポイントに使った花材は、ワイルドフラワーの中でも大人気のバンクシアと、小さなボール状のルリタマアザミ。所々にヒョロっと飛び出すケイトウの赤をアクセントにしました。
大好きな草花で、会場をいっぱいに!
最近では、ブーケのデザインとあわせて、会場全体のコーディネートを手がけることも。
例えば、酒井さんご自身の結婚式の二次会では、ふんわりと可愛らしいかすみ草を頭上に吊るし、バラやスモークツリー、リョウブで卓上を飾り付けました。
チェックのランナーや、植物をあしらったキャンドルをあわせて、カントリー調にまとめています。
種類の違う花材を使って高低差を出したり、流れ落ちるようなグリーンを使って溢れんばかりのボリューム感を出したりと、高砂のアレンジも自由自在!
バラやダリア、あじさいなどをふんだんに使えば、初夏にぴったりの華やかな高砂の出来上がりです。
結婚式当日のあたたかい空気感をギュッと凝縮したのが、こちらのボックスフラワー。
長持ちするドライフラワーをアレンジしたもので、贈呈用のギフトにおすすめです。
ご両親や友人へ、言葉で表しきれない感謝の思いを、ぜひお花に託してみてください。
■フローリスト&ショップ情報
・フローリスト:酒井 実穂(さかい みほ)さん
・店舗名:beek flowers(ビークフラワーズ)
・URL:https://www.beekflowers.com/
・営業日時:不定休
・ウェディングブーケの価格:20,000〜
・ウェディング対応地域:都内近郊
- すてき 1
- クリップ
この記事のライター
水鳥るみ
都内在住のフリーランスライター。 現在は、ウェディング関係のお仕事をメインに、年間30組以上の新婚カップルをインタビューし、挙式当日のレポを執筆。 ウェディングシーンに欠かせないフラワーアレンジメントについて、そのトレンドやショップ情報を詳しくご紹介します。