たのしくて、いろんな花を染めちゃいました!フローリスト実験室 実験4:ナチュラルな色に染めてみた
自分の手で染めの花の制作に挑む、
フローリスト実験室。
これまでの実験はこちら
フローリスト実験室実験1▶︎ 花を染められるってご存知ですか!
フローリスト実験室実験2 ▶︎ 花を七色に染めてみた!
フローリスト実験室実験3 ▶︎ さまざまな花材で挑戦
さあ、これをさまざまな花で試してみたくなりました。
着色剤「ファンタジー」の色カタログに記載のある、染色におすすめする花は、バラ、ラナンキュラス、ガーベラ、チューリップ、スカビオサ、ピンポン菊、カスミソウの7種だそう。
よりおもしろい染めのバリエーションを発見することを期待しちゃいますね。
さまざまな花材で挑戦してみました。
ナチュラルな色みを作ってみよう
染めの花に好みが分かれる理由の1つが、「ナチュラルではないから」という意見。ナチュラルな淡い色みを再現できれば、もっと使いやすくなるかもしれないですね!
実験方法
検証1… 「短時間染め」メーカーの推奨する「10分以上」という染色時間の最小単位をねらって計測します。
検証2… 「染色液の厳選」
豊富なカラーバリエーションから、あえて定番を外し、渋い色みをセレクトします。
検証1の結果
[ カーネーション ]
青色が花弁の裏側から徐々に染まりはじめ、花弁の先のフリル部分にのみ着色したところで染色液から引き上げました。淡いパステルカラーで、さりげないアピールに使えそう!
ブルー 10分経過
ブルー 1時間経過
[ ハボタン ]
モカとロイヤルブルーで挑戦!10分後に引き上げたものにも、淡いながら、しっかりと色が定着していました。さらに2時間半染色液に浸ければ、どちらも濃い色みになりました。
モカ 10分経過
モカ 2.5時間経過
ロイヤルブルー 10分経過
ロイヤルブルー 2.5時間経過
検証2の結果
[ カスミソウ ]
店頭であまり見られない落ち着いたカラーを選択。期待通りのやさしい色みに染まりました。
セピア 2.5時間経過
モスグリーン 2.5時間経過
考察
個体差や条件の差があるにせよ、染色液に浸ける時間は10分でも効果のあることがわかりました。また、ナチュラルな色みにするには「短時間染め」だけでなく、カラーリングの厳選も有効でした。
感想
単純に「液を薄めればよいのでは?」と思う人もいるかもしれませんが、メーカーからは「染色液を薄めて使用することはできません。きれいに染色できるよう添加剤が入っており、薄めてしまうと色ムラや染まりが悪くなります」との回答がありました。
淡い色みに染めるには、短時間染めか、染色液の選択が効果的です。
ただ、薄く染めたはずの花は翌日見たら、ほんのわずかに濃くなっていました。
茎に溜まっていたインクが吸われたからかもしれません。
column
染めやすいハボタン‘フレアホワイト’
同じ花でも品種によって、染色のしやすさや染め上がりの美しさが異なります。ハボタンの‘フレアホワイト’は、タキイ種苗が2017年に発売した品種で、葉の波打つ形状と中心部まで真っ白な姿が特徴です。
純白の度合いが強いことで染めたときの発色もよく、ハボタンのなかでも染色に特化していると言えます。
うまく染めるコツは、外の葉を取って白い部分だけにすること!タキイ種苗広報部に話を伺うと、「和のイメージで、需要のピークが年末年始という概念を崩し、洋風のアレンジで幅広く使えるものを目指しました」と語っていました。
ファンタジーの誕生秘話
それは、約35年前のこと。当時、パレス化学では鮮度保持剤を開発する際に、花弁に鮮度保持剤が到達しているのか否か、目視で確認するための指示薬として染料を用いていました。あるとき、スイートピー用の鮮度保持剤のテストのため、生産者を訪問した際、粉の染料を用いて生産者自身が染色を行っていたが、染めムラが起こったり、染める度に色が異なったりと多くの問題があるのを知りました。それがきっかけで、パレス化学が使っていた指示薬を、商品化したのがファンタジーのはじまりだといいます。
出展:
実験の詳細は、月刊フローリスト2018年4月号をご覧ください。
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この記事のライター
植物生活編集部ライター
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