ウェディングストーリーズ〈vol.4〉“ときめきの連鎖”が生み出すオンリーワンのウェディングブーケ/Fra cotta Deco

ウェディングストーリーズ vol.4
新郎新婦の思いをカタチにした“世界にたったひとつ”のウェディングブーケ。それを束ねるフローリストは、どんな思いでブーケをデザインしているのでしょうか。インスピレーションの源やこだわりを取材しました。◆◇◆
阿佐ヶ谷駅から少し離れた住宅街に、姉妹ふたりが切り盛りする素敵なお花屋さんを見つけました。
お店の名前は「Fra cotta Deco(フラコッタデコ)」。
Fraは「フラワー」、cottaはイタリア語で「ときめき」「料理する」、Decoは「デコレーション」を意味しています。
"お花を使って、ときめくようなものを作っていこう"
"デコレーションの気持ちを忘れないようにしよう"
Fra cotta Decoが提案するウェディングブーケには、オープン当時から変わらないふたりの思いがギュッと凝縮されています。
作り手から花嫁へ、ときめきは連鎖する
ウェディングブーケをデザインするのは、妹の明子さん(写真右)。
花嫁さんひとりひとりとじっくり向き合い、相手がときめくポイントを探っていきます。
大切なのは、その人のストライクゾーンをしっかり把握すること。
例えばピンクが好きな花嫁さんなら、「どんなピンクが好きなのか」「花びらが沢山ある咲き方がいいのか」「グラデーションの好み」などを詳細にヒアリングします。
花の仕入れを担当するのは、姉の桂子さん(写真左)。
ヒアリングした内容に基づいてイメージを紙に書き出し、鮮度の高い花材を厳選して買い付けます。
同じ花材でもアレンジの幅が広がるようにと、咲き方や色合い、大きさが違う花をあえて仕入れるのだそう。
心が動く花や珍しい花に出会ったときは、積極的に買い付けます。
「お客さまの希望をベースに、遊び心をプラスして仕入れています。もう何年もこの仕事をしているのに、仕入れの度にときめくんです」と、桂子さん。
「仕入れの意図を組み、アレンジをさらにひと工夫します。それがお客さまの"ときめき”に繋がるんです。」と明子さん。
Fra cotta Decoのウェディングブーケは、まるで幸せのバトンのように、姉妹の手から花嫁さんの手に引き継がれるのです。
ウェディングドレスを選ぶみたいに、ブーケも自由に選んで欲しい
例えばウェディングドレスを選ぶとき、花嫁さんは自分に合うドレスを探して試着を重ね、わずかな色の違いやフリルのテイストにまで気を配ります。
“お花もドレスと同じように、期待に胸を膨らませながら選んで欲しい…”
そんな思いから、Fra cotta Decoではカタログや写真の中から花を選ぶのではなく、店頭にあるお花を束ねながら打ち合わせを進めていきます。
ゆったりとした打ち合わせスペースを設けているのも、姉妹ふたりのこだわり。
じっくり腰を据えて、ドレスのラインや髪型、会場の装花といった周辺情報をヒアリングし、本人の身長やヒールの高さを計算に入れるべく、採寸も欠かしません。
ブーケの制作にとりかかるのは、挙式前日の夕方から夜にかけて。
花は鮮度が命なので、ぎりぎりまで水を吸わせ、倒れる心配のない頑丈な花瓶と一緒に納品します。
このように、花が1番きれいな状態で本番を迎えられるよう、最後までベストを尽くすのがふたりの流儀。
その丁寧な仕事ぶりが口コミで広まり、今ではウェディングブーケのオーダー数が年間200個を超えるまでになりました。
王道の枠を越えて、ときめくようなデザインに
そんなおふたりに、好きな花について聞いてみたところ、揃ってクレマチスの名前が挙がりました。
写真の左上部にぴょんと飛び出た紫の花が、そのクレマチスです。
明子さんいわく、「隠し味みたいな感じで、最後にデコレーションすると、デザインがグンと良くなることが多い」のだそう。
「華奢で可憐なのに、生命力が強く芯のある感じに惹かれます」と、桂子さんも大絶賛です。
星のような形が特徴のリューココリネもまた、Fra cotta Decoが大切にする“デコレーションの気持ち”を体現する花のひとつ。
こちらのブーケでは、白やピンクのバラに混じって、紫のリューココリネが全体をキュッと引き締めるアクセントになっています。
キャスケードブーケをデザインするときは、ワイヤーを使わないのが明子さんのこだわり。
ブーケの鮮度を保つために、直前まで給水できるようアレンジを工夫しています。
Fra cotta Decoが最も得意とするのは、“たった今、摘んできた感じ”をイメージしたナチュラルテイストのブーケ。
中でも、シュナーベルという名のくすみがかったピンクのバラをメインに、トゲのあるエリンジウム、艶やかなティナスの実、星型のブルースターなど青系の色味を加えたクラッチブーケが、今どきの花嫁さんに大人気です。
似たような花材でも、八重咲きのトルコキキョウをメインに、ユーカリなどグリーンをプラスすると、こんなにも違った印象に。
シルバーリーフや、多肉植物などのグリーンをふんだんに使い、プロテアやダリアといった存在感のある花材と組み合わせるのもおすすめ。
ブーケは全てオーダーメイドなので、王道のキャスケードブーケとも、ラウンドブーケとも一味違うアレンジが可能です。
イブピアッチェなど数種類のバラに、ホットチョコレートという品種のカラーを加えれば、ガーデン風かつ大人シックなテイストに。
シンフォリカルポスのピンクの実がいいアクセントになっています。
まだ見たことのないデザインを追求した結果、珍しい形のブーケが誕生することも。
こちらの三日月型の茎みせブーケは、カラーなどの花材を絶妙に組み合わせることで、美しい曲線を描くことに成功しました。
どんなデザインを考案するにせよ、根源にあるのは「花嫁さんにときめいてもらいたい!」というふたりの強い思い。
ウェディングブーケはもちろん、 ヘッドドレス、 花冠、 トス用ブーケ、贈呈用花束など、オンリーワンのアイテムを作りたい方はぜひ、阿佐ヶ谷のFra cotta Decoに足を運んでみてください。
■フローリスト&ショップ情報
・フローリスト:堀口 明子(ほりぐち あきこ)、折間 桂子(おりま けいこ)
・店舗名:Fra cotta Deco(フラコッタデコ)
・URL:http://fracotta-deco.com/
・店舗営業日時:金・土・日(メールからのご注文は、24時間可能)
・ウェディングブーケの価格:30,000〜
・ウェディング対応地域:都内近郊
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この記事のライター
水鳥るみ
都内在住のフリーランスライター。 現在は、ウェディング関係のお仕事をメインに、年間30組以上の新婚カップルをインタビューし、挙式当日のレポを執筆。 ウェディングシーンに欠かせないフラワーアレンジメントについて、そのトレンドやショップ情報を詳しくご紹介します。