Yu Yu 56ヶ月前

月と星とハーブと。 第5回 アーユルヴェーダから考える移動の工夫 後編 / 高瀬媛子さん



『月と星とハーブと。』
「アーユルヴェーダから考える移動の工夫」を二回にわたりお届けしています。
お話を伺うのは、女優の高瀬媛子さんです。

前編を振り返ると、どんな人も「ヴァータ」「ピッタ」「カパ」と呼ばれる3つのエネルギーを持ち合わせていること、個人でそのエネルギーのバランスが違うことや、移動には「ヴァータ」と呼ばれる “風のエネルギー” が関連していることを教えていただきました。

後編では、移動に関する具体的な予防策やアフターケアについて、アーユルヴェーダの視点からお伺いします。




移動疲れの対策で工夫していることはありますか。

「移動の際に大切なのは、『冷えと乾燥、時間の対策をとる』ことですね。

ヴァータは冷たく、乾いていて、軽く、よく動く、不規則である、などの性質を持っています。
誰でも移動をすることでヴァータが増えることは必至なので、ヴァータを増やしすぎないように「バランスを取ること」が移動疲れの予防につながります。具体的には真逆の性質を与えて中和するイメージです。

○「乾燥」の質には「油分」を与え
○「冷たい」質には「温める」ケア
○「不規則性」には「時間を定める」

ヴァータの持つ質と逆さまの性質を合わせ、「増えすぎたヴァータは鎮静していく」というのがアーユルヴェーダ・ケアの基本です。

例えばマスクやホットドリンクで喉の湿度を保ったり、バームやオイルで耳や鼻の中を保湿したりしています。これはヴァータの持つ乾燥の質を、水分や油分で和らげるケアです。
わたしのお気に入りは〈remio〉のカレンデュラオイル。小指に一滴落として、耳の中や鼻腔に塗ります。
移動時に持ち運びしやすい小瓶、バッグに一本あると安心ですよ。


緊張を緩めることもヴァータケアのポイントです。

暑すぎず寒すぎず、ちょうど良いリラックススタイルで過ごすこと。ストールやカーディガンなどで体温調節できるような服装がおすすめ。
足元も締め付けすぎない靴やスリッパなどがあれば、より良いでしょう。

また、高速移動による気圧の変化は、ヴァータが増える要因になります。新幹線移動の場合は真ん中辺りの車両が気圧の変化が少なく、比較的ヴァータが増えにくいのでオススメですよ」



音を耳に入れない工夫

「移動中は、耳栓、もしくはノイズキャンセラー機能があるイヤホンを必ずつけるようにしています。

音は振動として耳にから伝わります。耳はヴァータが大きく影響する器官です。新幹線や飛行機内は常に振動音が響いて耳に影響しますから、極力振動を入れないようにする工夫ですね。

ヘッドホンの装着はオススメなのですが、大きな音で長時間にわたり音楽を聴くことはヴァータの乱れにつながりますので、適度に楽しみましょう」



定時のご飯とおやつ

「できるだけ日常と同じ定時にご飯を食べるのが良いですね。

定刻に食事を取ることで、 “規則的であること” をキープします。
ヴァータは乱れやすさ、不規則性を特徴み持つため時間を決めることが効果的。正しく決まった時刻に胃腸を働かせる」というアーユルヴェーダ・ケアになるんです。

ですから、出張の際や移動が長時間になりそうな時は食事のタイミングを優先的に考えます。いつもと同じような食事時間にするため、お弁当を用意したり、軽食を持つことも多いですよ」




「移動から派生しますが、一日の中で「特にヴァータが増えやすい時間帯」があるんです。
それは、14~18時。日中きちんと活動すると、その日の疲れが出て、肩が張ったり腰が痛んだり。緊張を解いて一休みしたくなる頃ではないでしょうか。



この時間帯こそ一旦休憩することを推奨します。具体的なオススメはおやつを摂ること。甘い味と塩気にはヴァータを鎮静する効果があります。からだを潤しこころを癒すものとして、おやつを活用しましょう。

良質な糖質や適度な塩気と温かい飲み物、たとえばドライフルーツやナッツ、完熟した果物と温かいハーブティー、お煎餅とお茶などが オススメです。冷たすぎるおやつやドリンクは控えましょう。様々な国の食文化で、午後のおやつ休憩が存在するのは、理に適っているなあと納得しますね。」


  
移動疲れを癒すためのアフターケアを教えてください。




「移動があった日は、どの体質の人も必ずヴァータのエネルギーが増えています。ヴァータが増えた移動後のからだは、冷えて緊張し、乾燥していますから、『温める、リラックスさせる、保湿する』が基本ですね。

まずはゆっくり湯船に浸かって体を温め、緊張をほぐすこと。その際にバスソルトを入れて深呼吸をするのも効果がありますよ。

たっぷり保湿をして乾燥をケアし、早寝をすることで定刻の睡眠ができればベストです」





「疲れや緊張が強くて寝つきが悪そうなときは、ノンカフェインのハーブティーやスパイス入りのホットミルクを一杯飲んでからベッドへ入るようにしています。

ホットミルクには神経を落ち着け体を滋養する効果があります。飲むときは食後2時間以上経過していることが大切。単品で飲むホットミルクは消化がとっても早いんです。
もう寝る直前なのにお腹が空いてきちゃった、なんてときにはうってつけですよ。

組み合わせるスパイスは、シナモンやターメリックがオススメです。一回に使うスパイスの量はほんの少し。温めたミルクのカップへ、一つまみを入れて混ぜてください。

シナモンは体を温めてリラックスさせます。
ターメリックは肝臓のサポートにも効果的、肌も美しくしますから毎日少しずつを習慣にしたいですね。

ホットミルクが人肌に冷まして、ティースプーン一杯のローハニーを溶かすとさらに効果アップ。アーユルヴェーダでは、生のはちみつは滋養の薬として使います。最大の注意点は、必ず生のものを選び、40℃以上では摂らないこと。はちみつはを加熱すると代謝不良になるため注意してくださいね。

ほどよい甘みと香りがさらに安眠をサポートしてくれますよ」




二回にわたってお届けしてきました、『アーユルヴェーダから考える移動の工夫』。
いかがでしたでしょうか。

アーユルヴェーダの考えのベースは、自分の性質を見つめなおし、その特性をいかすこと。

移動に関しても、もともとの体質によって得意不得意があることがわかりました。


今回教えていただいた移動の前後のケアに加え、自分に合う過ごし方を見つけることが時代の速さとうまく付き合いながら、バランスを取っていけるポイントかもしれません。


うかがった人

高瀬媛子 / アーユルヴェーダな女優

女優として作品出演はもちろん、アーユルヴェーダをベースとしたライフスタイルの提案、料理教室の講師やレシピ執筆など食にまつわるプロジェクトにも多数携わっている。

Instagram
@akiko_takase

ブログ
https://ameblo.jp/akiko-t2012/
 
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この記事のライター

Yu
Yu

趣味は見ることと食べること。 アート/民藝/工芸/古いもの、食、ナチュラルケアやセラピーに興味があります。 美術大学卒業後、プロダクトの企画や暮らし周りの編集に携わってきました。

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