植物と暮らす おうち時間 第15回 Tisane infusion / 則武有里さん
名古屋で長らく気になっていた場所がありました。その名は〈Tisane infusion (ティザーヌ インフュージョン) 〉。
暮らしにまつわるものを扱うお店で、今回ご登場いただく則武有里さんがオーナーをつとめています。
お店があるのは栄駅の中心地から、すぐそばのビル。
一階は有里さんの夫が営む、みどりが生い茂る花屋〈Flower Noritake〉、最上階にあるのが〈Tisane infusion〉です。
お店は、海外の蚤の市に迷い込んだような雰囲気。真っ黒な犬と猫がお出迎えしてくれ、夢の世界に入り込んだような、穏やかで心地よい空間が広がっています。
植物や暮らしの道具に長年親しんできた則武さんにお話を伺いました。
〈Tisane infusion〉をはじめたきっかけを教えてください。
「お店をはじめたのはもう20年ほど前のこと。
花屋を営む主人と海外に遊びに行くと、古いものを扱うお店が魅力的に見えました。
お店の佇まいはもちろん、置いてあるもの全てに物語がみえるようで、心惹かれたのです。
何百年も使われきた陶器やガラス、籠などは、人の手で作られ、暮らし中で大事にされてきたものばかり。
既成品の花瓶に植物を飾ることに、もの足りなさを感じていた頃の出あいでした。
それから行く先々で見つけたものを少しずつ集めだしたのが、はじまりです」

お店を訪れた際、犬と猫が風景のように溶け込んでいることに驚き、また癒されました。
「我が家では犬、猫、亀(ヒョウモンリクガメの “モス君” )と一緒に暮らしており、犬の “マロン” と猫の “ボンド” は毎日お店に出勤しています。
ただ、一日のほとんどは奥の部屋で居眠りしているんですよ。
お店が開く前の準備時間、猫の “ボンド” は活発です。店内を掃除している最中も植物を飾っている時も、何をするにも付いて回る甘えん坊。
私のやること全てに興味津々で、匂いを嗅いでみたり触ってみたりと忙しそうに過ごします。
でも、お客様が来店されると静かにバックヤードに戻っていきますね。昼ご飯は2匹ともしっかり食べてからお昼寝タイムが始まり、お店が終わる夕方まで仲良くスヤスヤ夢の中です」

則武さんにとって植物はどのような存在ですか。
「なくてはならない存在です。
大げさかもしれませんが、身体が喜ぶものですから、いつも側で感じていたい。
私のみならず、人間は植物の恩恵を受けて生きています。
植物の恵みを五感で受け取ること『見る、聞く、味わう、触る、嗅ぐ』をまんべんなく楽しむと生活が豊かになるそうですよ。
具体的には、花の美しさに見惚れ、葉の重なり合う音に癒やされ、野菜やハーブからは美味しく食べられる幸せをいただいています」

「また、植物は色々な表情を持っているので、触れるだけで自然と心が落ち着いてくることもありますよね。
香りに関しても、甘くいい香りや刺激的なスパイスの香りなどその日の気分で選んで嗅いでいたいです。
日々植物から受け取るものは多く、言い出したら切りがないほど。
植物の代わりになるものは見つからないくらい、大きな存在だと思います」

「何かを考えたり、作り出したりするときに、植物の個性豊かな容姿からインスピレーションをもらうことも。
造形の神様からうまれた花びらの絶妙な色合わせや、凝った作りには敵わないと感心することが多いですね。
どんな小さな蕾でも膨らんで花になる健気な姿をみると力が湧きますし、開かない蕾には叶わないことも時にはあるのだと素直に心に響き、たくさんの気づきを与えてもらえる存在でもあります」

お気に入りの花器はありますか。
「お店をしているのでこだわりの器があると思われがちですが、お水さえ漏れなければ何でも大丈夫だと思っています。
たとえヒビや割れがあっても中に瓶を忍ばせて使うこともできます。
あまり難しく考えず、好きな花を飾ってみるのもいいですね」

「器にこだわりたい時は、気に入った西洋の器に和花を一輪なんて楽しみ方をすることも。
お庭の草むしりをして処分してしまう前に器に入れてお部屋で楽しむこともおすすめです。バサッと投げ入れのようにして飾ることもあります。
見慣れた雑草も十分楽しめる事が再確認できるきっかけになり、草一本でさえ愛着が増す植物に変身しますよ」

好きな植物はありますか。
「植物全般どの種類も好きです。
枝ものは蕾が膨らみ花が咲き、自然に花びらが落ちたあと、次に葉も勢いよく伸びてくる経過まで長く楽しめます。
台所や洗面所の空いているスペースに季節の花を一輪挿して、ニコニコと花が微笑む姿を見るのも好きな時間。
家が北向きで太陽の光が少なく、根付きの植物を育てる事が難しいので、切り花を飾ることが多いですね。
屋上では、繁殖力旺盛な蔓植物などのグリーンを育てて楽しんでいます。
花などはあまり期待できませんが、剪定がてら切ったものをざっくりまとめてリースにすることも」

家で時間があるときはどのように過ごしていますか。
「日本の古布も仕入れ、販売しています。中には魅力的な布でもずいぶんとキズがあり販売はできないものがあるんです。
そんな布に何か手を施せたらと思い、植物をモチーフにしたアップリケをして楽しんでいますよ」
愛され続けるお店の真ん中に咲く有里さんの笑顔に会いに、これからも多くの方が訪れ続けるのでしょう。
うかがった人
則武有里
「Flower Noritake」を支える一員であり、アンティークや古道具、雑貨などを扱う「Tisane infusion」オーナー。作家ものの紹介にも力を入れ、ショップに併設されたギャラリースペースでは、年間を通じて作品展やワークショップを開催している。
http://www.flower-noritake.com/
https://www.instagram.com/tisane_infusion/?hl=ja
暮らしにまつわるものを扱うお店で、今回ご登場いただく則武有里さんがオーナーをつとめています。
お店があるのは栄駅の中心地から、すぐそばのビル。
一階は有里さんの夫が営む、みどりが生い茂る花屋〈Flower Noritake〉、最上階にあるのが〈Tisane infusion〉です。
お店は、海外の蚤の市に迷い込んだような雰囲気。真っ黒な犬と猫がお出迎えしてくれ、夢の世界に入り込んだような、穏やかで心地よい空間が広がっています。
植物や暮らしの道具に長年親しんできた則武さんにお話を伺いました。
いつも植物を五感で感じながら、愛され続ける場所づくり
〈Tisane infusion〉をはじめたきっかけを教えてください。
「お店をはじめたのはもう20年ほど前のこと。
花屋を営む主人と海外に遊びに行くと、古いものを扱うお店が魅力的に見えました。
お店の佇まいはもちろん、置いてあるもの全てに物語がみえるようで、心惹かれたのです。
何百年も使われきた陶器やガラス、籠などは、人の手で作られ、暮らし中で大事にされてきたものばかり。
既成品の花瓶に植物を飾ることに、もの足りなさを感じていた頃の出あいでした。
それから行く先々で見つけたものを少しずつ集めだしたのが、はじまりです」
お店を訪れた際、犬と猫が風景のように溶け込んでいることに驚き、また癒されました。
「我が家では犬、猫、亀(ヒョウモンリクガメの “モス君” )と一緒に暮らしており、犬の “マロン” と猫の “ボンド” は毎日お店に出勤しています。
ただ、一日のほとんどは奥の部屋で居眠りしているんですよ。
お店が開く前の準備時間、猫の “ボンド” は活発です。店内を掃除している最中も植物を飾っている時も、何をするにも付いて回る甘えん坊。
私のやること全てに興味津々で、匂いを嗅いでみたり触ってみたりと忙しそうに過ごします。
でも、お客様が来店されると静かにバックヤードに戻っていきますね。昼ご飯は2匹ともしっかり食べてからお昼寝タイムが始まり、お店が終わる夕方まで仲良くスヤスヤ夢の中です」
則武さんにとって植物はどのような存在ですか。
「なくてはならない存在です。
大げさかもしれませんが、身体が喜ぶものですから、いつも側で感じていたい。
私のみならず、人間は植物の恩恵を受けて生きています。
植物の恵みを五感で受け取ること『見る、聞く、味わう、触る、嗅ぐ』をまんべんなく楽しむと生活が豊かになるそうですよ。
具体的には、花の美しさに見惚れ、葉の重なり合う音に癒やされ、野菜やハーブからは美味しく食べられる幸せをいただいています」
「また、植物は色々な表情を持っているので、触れるだけで自然と心が落ち着いてくることもありますよね。
香りに関しても、甘くいい香りや刺激的なスパイスの香りなどその日の気分で選んで嗅いでいたいです。
日々植物から受け取るものは多く、言い出したら切りがないほど。
植物の代わりになるものは見つからないくらい、大きな存在だと思います」
「何かを考えたり、作り出したりするときに、植物の個性豊かな容姿からインスピレーションをもらうことも。
造形の神様からうまれた花びらの絶妙な色合わせや、凝った作りには敵わないと感心することが多いですね。
どんな小さな蕾でも膨らんで花になる健気な姿をみると力が湧きますし、開かない蕾には叶わないことも時にはあるのだと素直に心に響き、たくさんの気づきを与えてもらえる存在でもあります」
お気に入りの花器はありますか。
「お店をしているのでこだわりの器があると思われがちですが、お水さえ漏れなければ何でも大丈夫だと思っています。
たとえヒビや割れがあっても中に瓶を忍ばせて使うこともできます。
あまり難しく考えず、好きな花を飾ってみるのもいいですね」
「器にこだわりたい時は、気に入った西洋の器に和花を一輪なんて楽しみ方をすることも。
お庭の草むしりをして処分してしまう前に器に入れてお部屋で楽しむこともおすすめです。バサッと投げ入れのようにして飾ることもあります。
見慣れた雑草も十分楽しめる事が再確認できるきっかけになり、草一本でさえ愛着が増す植物に変身しますよ」
好きな植物はありますか。
「植物全般どの種類も好きです。
枝ものは蕾が膨らみ花が咲き、自然に花びらが落ちたあと、次に葉も勢いよく伸びてくる経過まで長く楽しめます。
台所や洗面所の空いているスペースに季節の花を一輪挿して、ニコニコと花が微笑む姿を見るのも好きな時間。
家が北向きで太陽の光が少なく、根付きの植物を育てる事が難しいので、切り花を飾ることが多いですね。
屋上では、繁殖力旺盛な蔓植物などのグリーンを育てて楽しんでいます。
花などはあまり期待できませんが、剪定がてら切ったものをざっくりまとめてリースにすることも」
家で時間があるときはどのように過ごしていますか。
「日本の古布も仕入れ、販売しています。中には魅力的な布でもずいぶんとキズがあり販売はできないものがあるんです。
そんな布に何か手を施せたらと思い、植物をモチーフにしたアップリケをして楽しんでいますよ」
愛され続けるお店の真ん中に咲く有里さんの笑顔に会いに、これからも多くの方が訪れ続けるのでしょう。
うかがった人
則武有里
「Flower Noritake」を支える一員であり、アンティークや古道具、雑貨などを扱う「Tisane infusion」オーナー。作家ものの紹介にも力を入れ、ショップに併設されたギャラリースペースでは、年間を通じて作品展やワークショップを開催している。
http://www.flower-noritake.com/
https://www.instagram.com/tisane_infusion/?hl=ja
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この記事のライター
Yu
趣味は見ることと食べること。 アート/民藝/工芸/古いもの、食、ナチュラルケアやセラピーに興味があります。 美術大学卒業後、プロダクトの企画や暮らし周りの編集に携わってきました。